母の子どものころの夢が今はふたりの夢になる

──おふたりで楽しそうに作っていらっしゃいますが、そんなにつらいこともあったんですね。反対に、うまく撮影できたシーンはありますか?

森さん「劇場でも公開された『ドラゴンへの道』チャックノリス戦に出てくる、猫の熱演ですね。タレントの猫にオファーしようか迷っていたんですが、“私たちらしさって何だろう?”と考えたときに、これまで私以外の役はお母さんが演じることにこだわってきたので、やっぱり“ここもオカンだな”と思い、オファーしました」

累ママさん「最初、拡大コピーで猫のお面を作ったんですが、映像では猫が向きを変えるので、このままでは近い映像にならないなと思い、顔は口の部分だけ開けて紙のかぶりものにして、胴体は服をまとうことにしました

森さん「ただ、配信するまでは“本当に大丈夫かな”という不安はありましたね。でも公開すると、みんな“面白い!”って言ってくれて。お母さんと一緒に喜びました……!

──美術、衣装、その他のキャストすべてを累ママさんが精力的に担当されています。特にさまざまな役柄の髪形や衣装にまで徹底してこだわり、演技する姿が印象的です。もともと演じることには興味があったのですか?

累ママさん私も子どものころは、芸能界に憧れを抱いていたので、若いころはエキストラやモデルとして活動していました。それから香港にどハマりして向こう(香港)でも活動していました。でも結婚して、子どもを産んでからはしばらく専業主婦をやっていたんです。今は、子どもがスカウトされたタイミングで、私も芸能活動を始め一応、私も今は現役なんです

──昔はモデルなどをやっていらしたのに、今は胸毛をつけて男性役なども演じていらっしゃいますが、そこに抵抗はなかったのでしょうか?

累ママさん「年齢を重ねてきたことで、抵抗はなくなりましたね。それは自分の中では新たな発見です。演じるのが好きなんでしょうね」

森さん「お母さんはもともと出たがりなので、むしろ全部の役をやらせないと怖いですね(笑)!」

『ドラゴンへの道』チャックノリス戦で出てくる猫のシーンに使用。緊張と緩和を表すうえで重要になるという 撮影/北村史成

プライベートでは親子? 友達の一面も

──親子で動画を作っていて、よい点や、うまくいかない点はありますか?

森さん「“楽しんで作ること”。この共通認識は阿吽(あうん)の呼吸でとれているので、非常にやりやすいです。動画は手作り感満載かもしれませんが、その分ディーテルにこだわって作っています。一方苦手な点は、お互いなあなあな関係になってしまうところです。事前に動画の公開スケジュールは決めていますが、ふたりとも気分が乗らないときは、早めに切り上げて好きなビールを飲んだりすることもありますね」

累ママさん「そこがふたりの甘いところですね(笑)。もちろん、撮影の遅れた分を取り返すために、次の日はがむしゃらに頑張るんですけど

──お話を聞いていると、友達みたいな関係ですね。

累ママさん「“親子じゃない”ってよく言われます。私はYouTubeチャンネル『るいちゅーぶへの道』のおかげで、映画の舞台あいさつに立てたり、こうしてインタビューを受けたりできるので、娘には感謝しています。ですから、仕事では娘というよりも先輩として見ていますし、仕事では名前ではなく、森さんと呼ぶことが多いですね」

──普段の関係はどうですか?

累ママさんそこは友達の関係に近いでしょうか。ふたりとも神社をお参りするのが好きなので神社巡りをしたり、夜は一緒に映画を見たりします」

森さん「香港映画だと非常に話が合うんですが、それ以外の映画だと好みは分かれますね。それぞれの感想や考察を言い合ったりしています」

──そこは親子ですね。

森さん累ママさん「そうですね(笑)」

親子であり、唯一無二のパートナーでもあるふたり。お互いを尊敬している様子が印象的だった 撮影/北村史成