いざ、初めての公式戦へ
まずは、3人1組の団体戦がスタート!
トランプでグループ決めをした結果、男性と初体験らしきかわいらしい女性とチームを組むことになりました。
最初こそ緊張していたものの、周りの参加者の皆さんが子どものように楽しんでいる姿を見ているうちに、不安な気持ちもどこへやら。初体験の日に初公式戦出場というシチュエーションをすっかり楽しむほどにまでなっていました。
いよいよ私たちの順番となり、会場の真ん中へと進みます。相手のチームをちらりと見ると、全員強そうな男性たちが……! 試合開始前から弱気になりかけましたが、それでももう後には引けません。チーム内でじゃんけんをして順番を決め、私の出番は2番目。一礼をして、いよいよ初公式戦の幕が切って落とされます。
まず最初に戦ってくれたチームメイトは、初体験らしき女性。「こわいー!」と言いながらも、しっかり得点を決め、2対2という同点の状態で、私の出番に……。
託されたサッセン刀は軽いはずなのに、重く感じます。
実際に相手を前にしてみると、想像していたようには動けず、近づくことも離れることも難しい。その結果、同じ場所でひたすらピョンピョンするという謎の行動をするはめになってしまった私。次の一手を考えているうちに、相手が素早い1本を放ちます。これが私の右足にヒット。何もできないまま、1点を取られてしまいました。
体感的には、「まずい!」と思った時にはすでに「ポンッ」と点を決められているという状態。頭と身体が、地球と宇宙なのかというほどの時差を感じさせ、情けないやら悔しいやら、楽しいやら。
それでも、一瞬のスキを狙って、1点を取りにいくしかないのです。
その後、相手が私の刀に自分から当たってしまったという形で、棚ぼた的に1点を取ったものの、思い描いていた「颯爽と得点を取る」というものとはほど遠い結果に。
憧れのヒーローには、そうそう簡単にはなれないものだよと自分を慰めながら、席に戻りました。
1本取りたい! 悔しい気持ちが生まれた時、楽しさを感じる
団体戦は2回戦に勝ち進んだものの、練習を重ねてきている選手の皆さんを前に、苦戦of苦戦。
相手は5スイングしてしまったため、受けの態勢しかとれないというこちらに有利な状況にもかかわらず、面白いように手も足も出ないのです。
でも、時々、初心者でもポンッと1本が決まることもある。それが何より楽しいのです。
私たちのチームも何回か1本を取ることはできたものの、着実に点数を奪われ、2回戦敗退。
「悔しい気持ち」が「とんでもなく楽しい」に変わる。サッセンにハマる人たちの気持ちがよくわかった瞬間でした。
ちなみに、サッセンは、競技だけでなく、サッセン刀のセンサーを生かしたレクリエーションも楽しむことができるそうで、団体戦と個人戦の合間に体験することができました。
この日、体験したのは、2グループに分かれて対決する、サッセン刀をスイカに見立てた「スイカ割り」とサッセン刀を手に当てずに進めていく「イライラ棒」。子どもの頃にクラスの友達としたような遊びに思わず、大人も子どもも大はしゃぎの時間でした。
レクリエーションを挟んで、今度は個人戦へとプログラムは進んでいきます。
1回戦は、ストレートにパンッポンッと2本を決められ、さくっと負けてしまったのですが、2回戦はギリギリのところで2点を先取し、初めて勝つことができました。
公式戦に何度も出場している選手の方や剣道経験のある女性の方など、さまざまな人たちと対戦する中で、いつしか「怖い!」という気持ちが「必ず1本決める!!」という気持ちへと変化。
なかなか、思ったように身体は反応してくれないものの、動きのコツなども少しつかめるようになってくると、あらゆることが楽しいと感じるようになって「もっと強くなりたい!」という気持ちが湧き上がります。
すべての試合を終えてみると、この日、個人戦で優勝したのは、ウォーミングアップの時にペアになったあのPhillip氏。
試合終了後、「サッセンは集中できるところが好きなんだよ」とチャーミングな笑顔で答えてくれました。
初の全国大会も開催予定! SASSENのこれから
一人ひとりが思い描く理想のスタイルを追求して、練習をする姿は、まさにアスリートそのもの。初めて体験したサッセンは、日常を忘れさせてくれるようなエンターテインメント性と、心と身体を研ぎ澄ませ、得点を狙うというスポーツ競技としての魅力にあふれていました。
月に2回ほど行われているというこのような体験会や公式戦には、SNSやメディアなどを通してサッセンを知ったという人たちが、毎回多く訪れているそう。その注目度の高さも話題のサッセンですが、会長の本村さんは「まだまだこれから」と語ります。
常にアップグレードさせてきたというサッセン刀も、光り方やセンサーの精度、充電方法など、まだまだ改善すべきところがあり、これからも進化させていく予定なのだそう。
現在、サッセンは九州や東京以外にも、大阪や富山など各地に体験できる場所が広がってきているそうですが、本村さんが描く目標はあくまでも「47都道府県、すべてでサッセンを体験できる」という状態にすることだといいます。
思いついたらふらっとサッセンをすることができる、そういう環境を整えるために日々奮闘を続けています。
2022年10月31日には、初の全国大会も開催される予定で、すでに多くの参加者が名乗りをあげているそう。どんな人が初の優勝に輝くのか、今からとても楽しみです。
サッセン刀を持てば、肩書も立場も関係なく、誰もが自ら思い描くヒーローになることができる。世界中のあらゆる人たちを巻き込み、カルチャーとして根づく日ももうすぐかもしれません。
(取材・文/茂木雅世、編集/福アニー)
【Information】
●SASSEN/サッセン
サムライの真剣勝負を現代に再現。光る刀はBluetoothでスマホと連動し、どちらが早く当てたかをアプリが判定。大人数レクリエーションも! 全国出張体験会受付中。