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若い世代や海外からも注目されている昭和ポップス。本連載では、'80年代をメインに活動したアイドルの『Spotify』における再生回数と当時のCD売り上げをランキング化! データから過去・現在のヒット曲を見つめ、さらに、今後伸びそうな“未来のヒット曲”へとつながるような考察を、歌い手本人や関係者への取材を交えながら展開します♪

音楽

菊池桃子がタッグを組む相手に求める条件は「林哲司のファンであること」、歌うのが圧倒的に難しかった1曲は?

SNSでの感想
11月と12月には林哲司とのビルボードライブを控え、今なお輝きを増している菊池桃子
目次
  • シングル以外も大人気! おすすめのアルバムは『TROPIC of CAPRICORN』
  • 売野雅勇が紡ぐ日本語の美しさが好き。自分の個性は「極力出さないようにした」
  • 「一生涯、林哲司先生の大ファンを貫きます!」共演ライブへの意気込みは
What's「未来へつなぐ昭和ポップス」?

 今、若い世代からも、また海外からも熱い注目を浴びている昭和ポップス。昨今では、音楽を聴く手段としてサブスクリプションサービス(以下「サブスク」)がメインで使われているが、必ずしも当時ヒットした楽曲だけが大量に再生されているわけではなく、配信を通して新たなヒットが生まれていることも少なくない。

 そこで、本企画では1980年代をメインに活動した歌手・アイドルの、『Spotify』(2022年10月時点で4億5600人超の月間アクティブユーザーを抱える、世界最大手の音楽ストリーミングサービス)における楽曲ごとの再生回数をランキング化。当時のCD売り上げランキングと比べながら過去のヒット曲、現在のヒット曲を見つめ、さらに、今後伸びそうな“未来のヒット曲”へとつながるような考察を、昭和ポップス関係者への取材を交えながら進めていく。

 今回は菊池桃子にフィーチャーし、インタビュー第1弾ではアルバム収録内の人気曲を中心に、また第2弾では、シングル曲やラ・ムーの楽曲を中心にそれぞれ語ってもらった。この第3弾では、さらにおすすめの隠れ名曲や、新作『Shadow』についても話を掘り下げていく。

シングル以外も大人気! おすすめのアルバムは『TROPIC of CAPRICORN』

 それにしても、Spotifyの再生回数上位16曲にランクインしたシングルは、たったの4曲。アイドル出身のアーティストの場合、どうしてもヒットシングルを中心に聴かれることが多いのだが、菊池桃子の場合は、人気のシンガーソングライターと同様、圧倒的にアルバムのリスナーが多いそれだけ大勢の人々が、桃子のウィスパーボイスや、シティポップの王道とも言える林哲司のサウンドに心酔しているという証だろう。こういった状況を、桃子はどのように受け取っているのだろうか。

幸せでしかありません! “当時ファンでした”、“昔、聴いていました”とお声がけいただくときも、アルバムやシングルB面の話をされることが多くて、とてもうれしいです。シングル以外の楽曲にも全力投球してきたので、“ああ、埋もれなくてよかったなあ~”って思うんです。海外の方が自分の歌を聴いてくださっているのも光栄ですね。今年、林哲司先生とアルバム『Shadow』を作りましたが、タイトルには、“光が当たりにくい、陰に隠れた曲も一生懸命作っていました”という意味も込めています。そういった楽曲はまだまだありますし、第2弾も作れたらいいですね」

『Shadow』のジャケットはイラスト調。やさしい色合いに親しみを感じられる

 また、このランキングでは、桃子が参加していたロックバンド、ラ・ムーのラストシングルで、当時かろうじてオリコン週間TOP20入りを果たした「青山Killer物語」が再生回数20位なのに対し、シングルが35万枚以上も売れ、『ザ・トップテン』(日本テレビ系)では2週連続1位となった「BOYのテーマ」が25位と、過去の人気と現在の人気が大逆転しているのも興味深い。

こういう現象は面白いですね。シングルは、当時のタイアップ効果で売れたものも多いと思いますが、そうじゃない曲も伸びているということですよね。

 それと現在は、アルバムですと『ADVENTURE』と『OCEAN SIDE』 の2枚がよく聴かれているようですが、私としては、2ndアルバム『TROPIC of CAPRICORN』にもいい曲がいっぱいありますよ~! と、おすすめしたいです。具体的には『Southern Cross Dreaming』(現在33位)や『Boy Friend』(現在37位)、『Dear Children』(現在41位)など、海外の方が好きそうなリズミカルな楽曲がいろいろ入っています!」

桃子イチオシの『TROPIC of CAPRICORN』。ぜひ聴き込んでみてほしい

 確かに、このアルバムにはマイナー調でアップテンポの、耳に残る楽曲が多い。泰葉のヒット曲「フライディ・チャイナタウン」や八神純子の「黄昏のBAY CITY」のように、当時オリコンTOP50にも入っていなくても、現在は海外を中心に再生回数が急増している例があることを考えると、今後これらの楽曲が伸びる可能性も少なくない。その意味では、現在は26位の7thシングル「Broken Sunset」も、複雑なビートが絡む高速ナンバーなので、将来的にヒットしてもおかしくないはずだ。

「『Broken Sunset』……これはね!! 本当に、難しいんですよ!! 特に、サビに入るところが大変で……。いつも林哲司先生が“難しい曲を作ってゴメンね”とおっしゃっている代表的な部分が、集約されていますね。楽器で弾くとそこまで感じないのに、いざ歌ってみると、すごく難しいんです」

「Broken Sunset」のジャケット。前奏からクセになる、注目すべき1曲だ
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