中井貴一のひと言から道が開けた。大河ドラマの影響力をひしひしと実感

 ドラマや映画、舞台など、さまざまな経験を積み重ねてきた秋元さんが、自身の転機となった作品として挙げたのは、海外映画『山猫は眠らない8 暗殺者の終幕』('20年公開)と、5回にわたるオーディションを勝ち抜いたテレビドラマ『やすらぎの刻〜道』('19年〜'20年、テレビ朝日系)。

「『山猫〜』でお声がけいただけたことは自信につながりましたし、『やすらぎの刻』で5回のオーディションを経て役をいただいたことも、とてもうれしくて。それと、三谷さんの作品で過去に二度、参加させていただいたミュージカル『日本の歴史』('18〜19年・'21年)での中井貴一さんとの出会いも、自分にとってすごく大きかったように思います。今でも忘れられないのですが、中井さんが、“才加は時代劇とか向いてると思うよ”と言ってくださって

 日本人の父とフィリピン人の母を持つ秋元さんは、「自分はミックスだから、時代劇のお話は来ないだろうと諦めていた」と話す。

中井さんとの出会いから、昨年は時代劇作品が続いたり、大河ドラマに出演させていただいたり。今まで自分で“これはできない”と思い込んでいたけれど、案外そうじゃないのかもしれない、と思えた出来事でした。朝ドラや大河ドラマを見る家庭ではなかったので、正直、そのすごさをよくわかっていなかったのですが、『鎌倉殿の13人』の出演が決まったときに、いろんな方から“すごいね”、“やったね!”と言っていただいて。見てくださっている方からのSNSのコメントもかなりの数が届くので、大河ドラマの影響力を、じわじわと感じているところです

“調和する”ことを大切に。ある程度の柔軟さが大事だと、やっと気づけた

 ひとつひとつの役と真剣に、大切に向き合ってきた秋元さん。その姿を見ている人は必ずいるということを、彼女はまさに体現しているように思う。「芝居をするうえで心がけていること」を聞くと、「まだまだ語れる立場じゃないですが……」と、少し考えながら答えてくれた。

「最近やっと気づけたんですが、“調和する”ことです映像であれば、その画面の中に溶け込む。舞台なら、きちんと“その場にいる”ことを大切にしています。責任感が変に強い部分があったので、これまでは仕事でも何でも、“こうしなきゃいけない”とか、“こうするべきだ”と、頭でっかちになっていたんです。そうなるとお芝居も硬くなってしまって、すごく悪循環で。

『鎌倉殿の13人』の撮影時、ある監督さんから、まさにそれを指摘されたことがありました。“このシーンはこうあるべきだ、と決めつけてしまっていませんか?”と。そのときにやっと、まだ自分にはそこまでの技術もないのに、勝手に決め込みすぎていたんだなと思って、ハッとしたんです。

 セッションじゃないですけど、相手とのやりとりの中で生まれたものを大切にする。自分の役割をちゃんと意識しながらも、ある程度は柔軟に対応できるようになろうと、考えを改めることができました。遅いかもしれないけど、ここ数年でやっと気づけたことです。もっと早くわかっていたら……と思いますが、これも私のペースかなと。お芝居の取り組み方や感じ方は、ここ数年ですごく変わったと実感しています

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 丁寧に紡がれる言葉が、秋元さんの人柄を表しているようだった。出会いや経験を積んで、さらなる深みを増すその姿から、ますます目が離せない。インタビュー第2弾では、AKB48時代に学んだことや忘れられないエピソード、旦那さんとの関係性や今後の展望について、じっくり語っていただく。

(※第2弾は11/3の12時に公開予定です!)

成長を続ける秋元さんが描く、自身の未来像とは? 第2弾、お楽しみに! 撮影/吉岡竜紀 

【取材・文/高橋もも子、スタイリング・井阪恵(dynamic)、ヘアメイク・信沢Hitoshi】

◎秋元才加さん着用衣装
 シャツ37400円、パンツ44,000円(ともにチノ)、ネックレス38500円、イヤーカフ22,000円(ともにリューク)、リング39600円(カスカ) ※価格はすべて税込み

【PROFILE】
秋元才加(あきもと・さやか) ◎1988年7月生まれ、千葉県出身。アイドルグループ「AKB48」に所属しチームKのキャプテンを務め、2013年8月に卒業。以降、俳優として映画・ドラマ・舞台などで幅広く活躍中。主な出演作には、舞台『ローマの休日』、『ロックオペラ モーツァルト』、『にんじん』、映画『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』吹替、『山猫は眠らない8 暗殺者の終幕』、ドラマ『やすらぎの刻〜道』がある。三谷作品への出演は、舞台『国民の映画』、『日本の歴史』、映画『ギャラクシー街道』、ドラマ『黒井戸殺し』、『鎌倉殿の13人』と多数で、'22年11月から開幕する『ショウ・マスト・ゴー・オン』にも出演。

『ショウ・マスト・ゴー・オン』

作・演出:三谷幸喜
出演:鈴木京香/尾上松也/ウエンツ瑛士/シルビア·グラブ/小林隆/新納慎也/今井朋彦/藤本隆宏/小澤雄太/峯村リエ/秋元才加/井上小百合/中島亜梨沙/大野泰広/荻野清子/浅野和之

◎福岡公演:2022年11月7日〜13日@キャナルシティ劇場
◎京都公演:2022年11月17日〜20日@京都劇場
◎東京公演:2022年11月25日〜12月27日@世田谷パブリックシアター

※公演詳細やチケット情報は公式サイトへ→https://www.siscompany.com/showmust/