「唇のプライバシー」は、Spotify4位に納得、 ソワレ的には1位にしたい名曲
そして、第2グループ(?)は「唇のプライバシー」「デビュー~Fly Me To Love」「大きな森の小さなお家」の3曲。ここまでが10万回再生を突破している。「デビュー」は世界的なシティポップ・ブームの第一人者でもある林哲司の作曲、「大きな森の~」は、デビュー曲としてプレイリスト的に有利、とそれぞれ理由が考えられるのに対し、「唇のプライバシー」は当時、売り上げ18番目で、後年には伝わりづらいノンタイアップ曲。その本作がここまで上位なのは、かなり意外にも感じられる。
ソ「これは最初、発売1か月ほど前の“よみうりEAST”(当時恒例となっていた、『よみうりランドオープンシアターEAST』で行われた奈保子のバースデー・ライブ)で聴いたのですが、もう絶対にヒットする!! と思いました。『エスカレーション』で(挑発的な歌詞への)免疫もついていたし、振付も左右だけでなく、とうとう前後に奈保子さんが動き出して、ホントにカッコよかったです! 曲もスピード感があって、歌詞は相手を挑発しつつ、切ない歌にもなっていて多面性がありますよね。だから、オリコンで(週間順位)4位、4位、7位と来て、一気に20位まで落っこちたときは本当にショックでした」
衛「でも、近年のベスト盤で俺も選曲を考えるんだけど、『唇のプライバシー』のほうが、(それよりシングルセールスの多い)『UNバランス』や『コントロール』よりも印象に残っている気がするなぁ。『紅白歌合戦』での歌唱や『日本レコード大賞』の金賞受賞など、年末にたくさん聴いたからかな?」
ソ「鷺巣詩郎さんのアレンジが光っていて、音のブレイクも効果的に使っているので、ノリやすくて、最近のリスナーも好きな感じだと思いますね。だから、当時の18位よりも、Spotifyでの4位のほうが正当な順位だと思います! ギャランティーク和恵ちゃん(音楽ユニット『星屑スキャット』のメンバー)も、イイ曲だからとライブで歌っていますから、さまざまなフックがあるのでしょうね。それと、出だしのEVEによるコーラス部分は、雑誌『明星』の歌本では“Pain in Lips”と書かれていますが、ライバル誌『平凡』の歌本や奈保子さん自身の解説では“Pretty Lips”になっているので、当時は編集者が耳コピしたんじゃないかと」
ちなみに、ソワレが'04年に出演したテレビ番組『タモリ倶楽部』の特集『“河合奈保子”振り付け祭りの特訓現場に潜入!!』(笑)という放送回で、ソワレは「唇のプライバシー」を1位にしていた。この理由も改めて尋ねてみた。
ソ「振りとしては『ジェラス・トレイン』のほうが面白かったのですが、インパクトの大きさもあって『唇のプライバシー』を1位にしました。そういえば、番組からテレビ的になじみのある『けんかをやめて』をベストテンに入れてくれ、と言われて、渋々『涙のハリウッド』と入れ替えました(笑)」