美容室でのモデルを機に芸能界へ。大物俳優の“意外なギャップ”に感激した過去も
もともと、芸能界に入る未来図は描いていなかったと明かす。きっかけは、大学1年生のときに通っていた美容室のPR動画に出演したことだった。
「”モデルやってくれない?”と誘われたので、“僕でよければやりますよ”って、すごく軽い気持ちで返事をしました。その動画はきっと、現代のネット社会には転がっていないはず……だから、もう見られません(笑)。その動画出演を機に、モデル活動をすることになって、そのまま最初の事務所に所属が決まりました」
モデル活動から始めた芸能活動を経て、現在は俳優として活躍の場を広げている。数々の現場を経験し、いろいろな人と出会う機会が多い中でも、特に印象的だった人として語るのは、
「舘ひろしさんです。初めてお会いしたのは、ドラマの本読みでした。大きなスタジオに舘さんがガチャッと扉を開けて入っていらしたのですが、かけていたサングラスをバッと取って、渋い声で“舘ひろしです”って。カッコいい……僕が小さいころから見てきた舘ひろしさん、そのまんまだ……! って、一気に引き込まれました。
でも、いざ本読みが始まると、僕が言うのも失礼なんですが、可愛らしい表情も見せられて。そういうギャップって、本当に魅力的ですよね。“なんだ、このすてきな人は……”と純粋に感動してしまったのが印象深いです」
間近で見たダンディな舘ひろしさんに感激したときの様子を、熱量たっぷりに聞かせてくれた。
「役を通して自分自身も豊かになっていけたら」。30代になって感じた変化は?
田中さん自身は、どのように歳を重ねていきたいと思っているのだろうか。
「一つひとつ、目の前のお仕事に向き合っていたら、気づけば32歳。あっという間に過ぎていくからこそ、より真剣に向き合って、自分の中の思い出としても色濃く残していきたいなと思っています。プライベートが仕事に生きることもあれば、その逆で、仕事がプライベートに生きることもあるんです。
演じた役からもらうものって、すごく大きい。役と向き合っていくたびに、“田中俊介って、どんな人間だったかな?”って自分を見つめ直しています。役を通して、僕自身も豊かになっていけたらいちばんいいですね」
そして、20代と30代での変化をこう語る。
「20代のときは、目標に向かってずっと走り続けていました。もちろん、30代になった今も走ってはいます。でも、とにかく前へ前へと走り続けていた20代と比べると、給水所を見かけたら、ちゃんと休んで水を飲めるようになりました。“しんどくなったらちょっと歩こう、そうしないと疲れちゃうな”って、そういうのが見極められるようになりましたね。
この仕事を続けていると、役を通していろんな出会いや発見、経験が積み重なります。自分自身が豊かになっていくと、もしかしたら30代のうちに結婚したりとか、人生の第2章が始まるのかな? こればかりはわからないけど、そんな自分のこれからが、今はすごく楽しみです」
【取材・文/高橋もも子、スタイリング/中川原有(CaNN)、ヘアメイク/奥山信次(b.sun)】
【PROFILE】
田中俊介(たなか・しゅんすけ) ◎1990年生まれ、愛知県出身。'17年、映画『ダブルミンツ』で初主演を飾り、その後も映画やドラマ、舞台など多岐にわたり活躍を続ける。近年の主な出演作に、【舞台】『銀河鉄道の父』『ピサロ』('20年)、『ホームレッスン』('22年)、【映画】『タイトル、拒絶』『ミッドナイトスワン』('20年)、『僕と彼女とラリーと』『FUNNY BUNNY』『彼女』('21年)、【ドラマ】『妻、小学生になる。』『鎌倉殿の13人』('22年)など。'22年12月24日から主演映画『餓鬼が笑う』が公開中。'22年2月から、舞台『ケンジトシ』に出演予定。
【東京公演】2023/2/7〜2/28@シアタートラム
【大阪公演】2023/3/3〜3/10@サンケイホールブリーゼ
作:北村想/演出:栗山民也
出演:中村倫也、黒木華、山崎一、田中俊介ほか
※公演詳細やチケット情報は公式HPへ→https://www.siscompany.com/kenji2023/