石田ゆり子の「天然」と「ラブシーン」

──その後、お姉さんの石田ゆり子さんとも『不機嫌な果実』(1997年/原作・林真理子、脚本・中園ミホ)で夫婦役を演じています。

石田ゆり子さんは女優さんとしてというより、人間として非常に魅力的で、いい意味で隙(すき)のある方だったんで、撮影中は毎日のようにツッコんでいました。

 ご本人はすごく否定するんですけど、天然の匂いのする方なんですね(笑)。例えば彼女がディレクターさんに質問するのを聞いていると、“台本、ちゃんと読んでるのかな”って。僕、シンプルに1回聞いたことがあるんです、“あなた、本当に台本読んでるの?”って(笑)。
“失っつ礼なこと言いますね!” って怒られたんですけど、そういうことをツッコみたくなるような。いい意味で普通の方と感覚が違うんです」

渡辺いっけい 撮影/松島豊

── 濃厚なラブシーンもありましたけれど。

「そうですね。でも、夫への不満で不倫に走るっていう話なので、僕との夫婦の営みのシーンはそんなになかった。第1話だけ丁寧に撮ってもらいましたね。

 あれはTBSの生野慈朗さん(※)っていう名ディレクターの演出なんです。男と女のドラマを撮らせたらピカイチという方が、非常にていねいに根気よく撮ってくれて。友人たちからはけっこう反響がありました(笑)」

※代表作に『3年B組金八先生』『男女七人夏物語』『ずっとあなたが好きだった』など。いっけいは『私の運命』などに出演。

──石田ゆり子さんとは今も交流があるそうですね。

LINEのやりとりをしています。Twitterも彼女のはフォローしていて、ちょっとしたことでコメントしたり。僕としては盟友というか、ずっと見ていきたい人です。

 彼女は単に演技だけを生業(なりわい)にする感じではなく、いろいろ多岐にわたって。最近では音楽もやってらっしゃるし(lily名義)、猫ちゃんをインスタにあげてみんなを癒してくれたり。生きているさまが非常に魅力的で幅広い支持につながっている。若いころから非常に面白い人だなぁって思っていました」

渡辺いっけい 撮影/松島豊

「ひかりちゃんはプロフェッショナルな感じだったんですよね。自力でしっかり生きていけるタイプ。そういう意味で、現場のパートナーとして素晴らしかった。

 ゆり子ちゃんとは逆というか。こういう言い方はアレですけど、人間として気になる存在というか。いったいどこに向かうのか、ちょっと心配になる感じの人(笑)」