「トレンディ」でい続けるためには……
――唐沢さんが1996年に上梓されたエッセイ『ふたり』を子どものころに初めて拝読し、今もたまに読み返しています。本書でも触れていますが、唐沢さんはブルース・リーに憧れて役者を志したそうですね。
世の中の大半の人は、ブルース・リーというとヌンチャクを回して「アチョー!」と言っていることしかイメージがわかないと思うけど、自分が彼から影響されたのはそんなことではないんです。俳優として本当に勉強になったし、人としてとても大事なことを学びました。
――同書のあとがきで、「『トレンディ』イコール『その時代』だというなら、おれはずっと『トレンディ』でいたい」という名言(!)が胸に刺さりました。唐沢さんが「トレンディ」でい続けるために心がけていることがあれば教えてください。
やっぱり、その時代をちゃんと理解して生きていくってことじゃないかな。職業のジャンルは別にして、それができない人はどうしても取り残されていってしまう。「こんな時代になっちゃったのか」と思うかもしれないけど、その仕事をやり続けようと思ったら、その中で「どうしたら今の時代に生き残っていけるのか」を考えるようになるじゃない? 今の自分たちが生きている時代をちゃんと見て考えていないと、一般社会に取り残されていくからね。
すてきな奥さんと二人で楽しく生きていきたい
――ここからは、俳優さんたちの「実はこんなものが好きです」といったことやものを語っていただくコーナーに移りたいと思います。唐沢さんが今熱くなっていることは何かありますか?
自分がそこまで熱い人間じゃないから、本当に熱いヤツって苦手なんだよ。でも、タクシーのモニターでよく見る「熱い男」 のCMは面白いね。「気合いで!」とか「徹夜で!」って言っていて「それは時代錯誤だろう」と思うんだけど、あれはキャラクターが面白いんだよね。もちろん僕も仕事は一生懸命やるけど、とにかく楽しむことが一番だよ。
――今年の6月で還暦を迎えられます。俳優として、また一人の男性としてこれからどんな人生を歩んでいきたいですか?
俳優としては、夢と希望があるような作品があればいつでも出たいと思う。でも、もしそうじゃない社会になったら、うちはすてきな奥さんがいるから。二人で「どうやって生きようか」って考えながら、楽しく生きていくんじゃないかな。それも人として大事なこと。俳優は演技だけじゃなく、プライベートを楽しむこともとても大切なことだからね。
(取材・文/根津香菜子、編集/福アニー、撮影/junko、ヘアメイク/松原美穂(Nestation)、スタイリング/勝見宜人(Koa Hole inc.))
【Profile】
●唐沢寿明(からさわ・としあき)
1963年6月3日生まれ、東京都出身。’87年、舞台『ボーイズレビュー・ステイゴールド』で本格的に俳優デビュー。映画デビュー作『おいしい生活』と主演作『ハロー張りネズミ』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。その後も、NHK大河ドラマ『利家とまつ 加賀百万石物語』をはじめ、山崎豊子原作のTVドラマ『白い巨塔』、『不毛地帯』など数々のドラマに主演。
【Information】
●『連続ドラマW フィクサー Season1』
監督:西浦正記
脚本:井上由美子
出演:唐沢寿明、藤木直人、町田啓太、小泉孝太郎、要潤、吉川愛、斉藤由貴、駿河太郎/ 西田敏行(特別出演) / 永島敏行 富田靖子 陣内孝則 内田有紀 小林薫
Season1:4月23日(日)初回放送&配信スタート(全5話)
放送:毎週日曜22時[第1話無料放送]【WOWOWプライム】【WOWOW4K】
配信:各月の初回放送終了後、同月放送分を一挙配信 [無料トライアル実施中]【WOWOWオンデマンド】