さらに彼らしいオマージュ(パロディー)もお見事で、ゆいが出演する作品によくその傾向が見られた。連ドラも『巫女ちゃん』と言われれば、やっぱりあの朝ドラを思い出す……(あまちゃん)。ほかにも『〜君の雑炊が食べたい』がさらりと登場(君の膵臓をたべたい)。政治家の想田豪(山本耕史)は、自ら政党を打ち立てた現役の政治家に絶妙に似ている。想田が建てた選挙事務所はあからさまにApple Storeだったと、思い返して笑ってしまう。

 と、ここまで並べるとコメディ要素のみ。そこを食い止めるのが大石氏の脚本ではないかと推測する。共同脚本というと一話ずつ、テレコ方式で書かれることが一般的。ただ今回は交換日記のように、ふたりが書き継いでいったそう。なるほど。

Netflixシリーズ『離婚しようよ』より

 例えばこんなシーンがあった。離婚に向かって進む夫婦ではあるが、途中、何度か数年間の結婚生活で積み上げた情にかられてしまう。

議員になる前の大志さん、素敵でしたよ。優しくて、まっすぐで、愛媛のことが大好きで!(中略)まぶしかった。惚れ直しました

 と、厳しい義母から大志をかばうゆい。これは大志も同じだった。こういう部分が大石氏の『大恋愛〜僕を忘れる君と』(TBS系列・2018年)を生み出す、感動操作力なのだ。各シーンやセリフが、どちらの執筆であるのかを想像をふくらませながら観るのもまたよし。