いじめられていた時期にギャルに救われる

中学生当時のうさたにパイセンさん(向かって左)

──小学生のころにギャルに憧れ始めて、中学生ではどう成長していくのかが気になります。

私、小学生の高学年くらいから、いじめられてたんですよね。もともと気が弱いから、あんまり周りとしゃべれなかったりして。周りからブスって言われたりして。それでヤンキーっぽい格好をしてたから優等生グループからも嫌われてたんですよ。それで友達ができなくて、みたいな。

 そのとき、すごくつらかったんですけど“私このままじゃいけない。なんか変えなきゃ”と思ってたんですね。それで中1のときに、無理やり学級委員になってみたり

──いじめられている中で学級委員に立候補するって、すごい行動力です。

「それくらい“なんとかしなきゃ”って思ってたんですよね」

──クラスの優等生グループと仲よくなっていくんですか?

いや結局、なじめなかったんですよ。例えば他の学級委員の子とか、“テスト何点だった?”、“90点なんだけど最悪だわ”みたいな話してて。え、私40点なんですけどみたいな(笑)

──なるほど。「これじゃ変われない」っていう感覚があったんですね。

「そう。グループとしてもなじめなかったし、何より“自分がやりたいことって、これだっけ”って思ったんですよね。優等生キャラもできないし……。そのときに“親が期待している子になろうとしてるじゃん”って自覚したんですよ。それがすごく嫌でしたね

──「親が決めたレールから抜け出したい」みたいな閉塞感もあったというか……。

「そうですそうです。で、結局なにも変わらなくてつらいなぁっていう時期で……。そのときにCROOZblog(※)でギャル雑誌のモデルさんが書いたブログを読んでたんですよね。

 それが、もうカッコいいんですよ。どの投稿もキラキラしてて“人生楽しい!”ってのが伝わってくるんです。読んでるだけでめっちゃ心が救われる感覚があったんですよね

※2005年から開始した無料ブログサービス。当時はギャル雑誌のモデルがよく使っていた。2022年に惜しまれつつサービス終了した。

──いじめから抜け出せない自分と、毎日が楽しそうなギャルを対比させていたんですね。

「そう。それで、ギャルみたいにかわいくなろうって思ったんですよ。内面は簡単に変わらないってわかっていたので、まずは外見を変えようって。

 それで中2のときに人生で初めてつけまつげを付けて、ギャル雑誌を買ってメイクの勉強をしはじめました」

──「ギャルになること」が自分のやりたいことだったし、現状から抜け出す方法だったんですね。

「そうそう。中2で外見をギャルみたいにかわいくしたら、だんだん自信が持てるようになったんですよね。それでスクールカーストの一軍のグループにからんでいって、だんだん友達ができるようになりました」

──いきなり、一軍にからんでいけるのもすごいです(笑)。

「中学の一軍の子って、キラキラしてて楽しそうじゃないですか。私はそういうコミュニティに憧れてたし、それ以外はやりたくなかったから、どうにかして仲間に入りたいと思ってたんですよ。

 でもぶっちゃけ当時はヤンギャルっぽい子しかいなかったんですよ。私はギャル雑誌を読んでたし、ちゃんとギャルになりたかったので、友達にメイクをしたり、洋服を貸したりしてましたね」

──好きなことだったから、ちゃんとコミュニケーションを取れたわけですね。中学生のころから、今の活動と同じことをしていたのがおもしろいです。

「やっぱりつらい時期にギャルに救われたので、当時から“みんなにちゃんとギャルを知ってほしい”って考えていたんだと思います。

 今も同じ気持ちですね。自分が“人生楽しい!”っていうギャルの生き方に救われたからこそ、ギャルをたくさんの人に知ってほしいと思ってます

【後編→ギャルの伝道師・うさたにパイセンに聞く、すべてを肯定するポジティブなギャルマインドを持つ秘訣

(取材・文/ジュウ・ショ、編集/FM中西)

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