3年ぶりに関西でリアルファン感が行われる! しかも年内に、という情報が飛んだのは今年の夏ごろだっただろうか。くまモンファンは色めきだった。
くまモンの最大のイベントは、毎年3月に熊本で行われる「誕生祭」だ。そして東京、大阪で(かつては福岡も)行われるファン感謝祭も、ファンにとっては大きな関心事。東京は2021年を除いてリアルで開催できたが、大阪は2020年から開催できずにいた。
そして12月3、4日、神戸メリケンパークで「くまモンファン感謝祭2022 in KANSAI」が開催されると聞き、またまたファンはざわついた。神戸というのは初めてだったからだ。このファン感は、「2日間限定のくまスマスパーティ くまパ」と謳(うた)われ、「モンタクロースがハッピーとサプライズをお届けするモーン」という趣旨のもと、開催された。
前夜祭から気合いの入るくまモン。当日は快晴、オープニングから大盛況!
前日2日の夜、くまスマスツリー点灯式があると聞き、メリケンパークに足を運んだ。
舞台ではリハーサルがおこなわれている最中。くまモンもスタッフと細かな打ち合わせをしているよう。
くまモンらしいツリーに灯りが入った。くまモンもどこか誇らしげだ。ポスターを手に、メリケンパークに来ている人たちにも必死のアピールを続けた。
そして初日。真っ青な空が広がる港隣接のメリケンパーク。焼きそばにラーメン、馬肉や鹿肉のフランクフルト、いきなり団子、くまモン顔の小籠包とフードのブースが21店、グッズのブースが11店、さらには共演のキャラクターの物販ブースも並ぶ。熊本から、くまモンスクエアの出張販売もあった。
ステージは4回に分かれ、なるべく多くの人が座って観覧できるようにするため入れ替え制となっている。柵の外での立ち見は自由だ。
まずはオープニングステージ。くまモンと同志社大学ダンスサークル「Soul2Soul」に
豪華すぎるメンバーが神戸の地に集結! ダンスやパレードでファンをおもてなし
さらに今回は、“モンタクロース11(イレブン)”と称して、くまモンと一緒にお友だちがくまパを盛り上げてくれるという。これが、なかなかの顔ぶれだった。
熊本からは鞠智城(きくちじょう)のさきもりころう君と水俣市にあるエコパーク水俣バラ園のエコバラちゃんがやってきた。九州つながりで登場した鹿児島県鹿屋市のかのやカンパチロウは、なんとも不気味な魅力をたたえていた。地元からは、神戸市中央区のマスコットキャラクター・かもめん、そして大阪からは広報担当副知事・もずやんと、東大阪市のトライくん(4日のみ)。そして滋賀県彦根市のひこにゃん、島根県からはしまねっこ、栃木県佐野市のさのまる、群馬県のぐんまちゃんと有名どころが顔をそろえた。
これだけのキャラさんが集うと、一筋縄ではいかない。最初はおとなしくしていたが、そのうち「エコバラちゃんのしっぽを触ると幸せが訪れる」というアナウンスに従って、くまモンがエコバラちゃんのしっぽをつかみ、くまモンのしっぽをころう君が触り、ころう君のしっぽを……と考えたぐんまちゃんだが、ころう君にはしっぽがなかったというオチ。ぐんまちゃん、頭を抱える図式はフリーダムなキャラさんたちらしく、会場からは笑い声が響く。
お友だちと一緒にクリスマスソングメドレーを踊ったくまモン、とても満足そうだった。
ステージの合間には、「くまスマスパレード」が行われた。広い会場内、くまモンを先頭にキャラさんたちが1列になって歩き回る。観覧者たちが作る花道を、モンタクロース11が練り歩く。密になりすぎないよう、声は出さないよう、人間たちは気を遣うが、モンタクロース11は右に左に手を振りながら、これまたファンサービスに努めていた。青空のもと、くまモンをはじめ、たくさんのキャラクターが元気に飛んだり跳ねたりしているのがなんともいえず楽しい。見ている人たちの笑顔が、マスクをしていても弾けている。
キャラクターたちは可能な限り、広場やブースで客をもてなす。かつてだったらハイタッチやハグなどもできただろうに、このご時世、できるのは手を振ることだけ。とはいえ、コロナ禍であってもこれだけのことができたのは画期的だったと思う。
カジサックと漫才コンビ結成!? 最後はみんなをお見送り。盛りだくさんな1日♪
とっぷりと日も暮れたころ始まったのは、“KUMA1”(くまワン)というステージ。ん? いったい何をするの?
登場したのは……カジサックさん。なんと、かねてからの友人であるくまモンとの漫才コンビが誕生したらしい。ふたりの相性は抜群で、ネタ的にも漫才として成立していた。
「くまモンは僕が振るアドリブにも見事に対応してくれる。いい相方」
ほめられたくまモンは照れまくりつつも、うれしそうだった。
そして最後は、モンタクローススペシャルステージ。くまモンからの特別プレゼントということで、大阪くまモン隊のハンドベルでクリスマスソングを演奏。これもまたみんなで一生懸命練習したのだろう、見事なハーモニーが、暗くなった夜空にこだまする。外気は冷えてきたけれど、誰もが心を温められる思いで聴き入っていた。
ラストはもちろん、モンタクロース11も加わっての「くまモン体操」だ。締めはこれでなければ! 観客も手拍子で応援。くまモンは途中でステージから降りてきてノリノリでダンスを踊る。少しでも見ている人の近くに行きたいと彼が思っていることが伝わってきた。
まだまだ舞台にいたいけれど、まだまだみんなと踊りたいけど、そろそろ初日は終了。くまモンはお友だちをみんな見送ってからもまだ舞台に残り、いつまでも名残惜しそうに手を振っている。そしてくまモン隊に促されて、数歩歩いては振り返って手を振りながら、ゆっくり、ゆっくり去って行った。
広場のブースはまだ開いている。その後も思い思いに食事をしたり、会場内で写真を撮ったりと観客たちは楽しんでいた。
筆者は所用で初日しか見られなかったのだが、2日目も天気に恵まれ、’25年に大阪で行われる関西万博とのコラボステージも開催された。特別ゲストに公式キャラクターのミャクミャクも来場、くまモンと「わちゃわちゃ」したようだ。また、くまモンスクエアのステージもあり、スクエアスタッフさんとくまモンがダンスを披露したとも聞く。
2日間で2万人を動員した「くまモンファン感謝祭2022 in KANSAI」。開催地が神戸だったこと、時期的にクリスマスを意識した仕様になったことで、ファン感としてより盛り上がったイベントになった。そして来た人たちが口々に言っていたことは……。
「くまモン、ありがとう! 楽しかった!」
ファン感は、ファンからくまモンへの感謝の日でもある。
(取材・文/亀山早苗)