地上波プライムタイムで『突然ですが占ってもいいですか?』(フジテレビ系)が人気だったり、スマートホン用サイトやオンライン鑑定も増加したことで以前以上に身近な存在となった占い。ちょっとしたことから人生の一大決心まで、何かしらみてもらったことがある人も少なくないのでは?
でも、ちょっと待って! 国民生活センターなどにも「無料鑑定というサイトに登録したところ、その後やりとりを重ねるうちに課金を求められ、やめようとすると“幸せは来ない”などと言われて120万円ほど支払ってしまった」という相談例が。よいことばかりではなく、占いの魅力を悪用する不届き者が問題になっている。
被害者にならないため、著書『78枚のカードで占う、いちばんていねいなタロット』が10万部という驚異的部数を売り上げている有名占い師・LUAさんに、“占いとの付き合い方”や“占い師のタブー”“よい占い師の見分け方”について聞いてみた。
こんな占い師は要注意
私たち、占いに行く側、客側が注意したいポイントは?
「例えば“あなたに合うパワーストーンを占います”みたいなの多いですよね? 占いの結果を受けて、ブレスレットを作ってくれるところとかも。別に、“開運のためにこの石がいいですよ”とかは自由だと思うのです。でも、“この石を身につけないと、あなたはずっと恋人ができないわよ”という感じで不安にさせて購入を迫ったり、あとは超高額なのはよくないですよね」
霊感商法のように不安を煽(あお)るようなら要注意ですね。
「リピートを無理やり促すのもよくないですね。“次回、いついつまでに来ないと不幸になるわよ”みたいな。それと、占いの対面とかオンライン鑑定の場合は時間で金額が決まるものがほとんどなのですが、10分2000円だとして、占い師側がいらないことを話しまくって10分でおさめず、1分とか超えさせようとして“はい4000円です”なんて請求する場合もあるようです」
お試しのように短時間で安くて、気軽に! と見せかけて、その実たくさんお金を支払わせようとするのは悪質ですね。ところで、占ってもらう側で過度に深入りしない向き合い方はありますか?
「当たりはずれを過剰に気にする必要はないと思いますし、占いというのは、“今こういう状況だから、こうしたほうがよくなるのでは?”というような向き合い方をしたほうが健全です。依存するのではなく、エンタメとして楽しむくらいのほうがよいのではないでしょうか」
タレント的な活動のオファーが来ても、あえて断っているというLUAさんだからこその忖度(そんたく)のない言葉の数々。ほかにもこんなパターンが。
「“彼氏と相性がいいですか?”と聞いているのに、“あなたはこういう性格ですよね”みたいに自分のフィールドに引き込むだけで、お客さんが求めているものに回答しないのはダメですよね。仮にその占い師さんがそういった内容が得意でないなら、“それは占えません”と断ってお金をとらないのが正しいわけです」
たしかに、友達と雑談しに行っているわけじゃないですもんね。
「お客さんに共感することはいいと思うんです。“私、死にたいんです”“あの上司から逃げたいんです”という相談を理解するのはいいと思うんですけれども、お客さんに占い師が迎合しちゃうのは違うなと。相談に対して泣いちゃったり、“本当にそいつはヒドイやつだね”って言ったり。あくまで占い師は平常心を保っておいて、冷静な判断を下さないといけない。一緒に心が揺れるのではなく、心を落ち着かせる方向に導かないと、せっかくよいアドバイスをしたとしても、お客さんがそれを実践できないですから」
占い師が占えないこと
ちなみに、素朴な疑問として占い師が占えないこと、占ってはいけないことみたいなルールってあるのだろうか?
「いちばんいけないのは医療にかかわることですね。私たちは医師ではないので。“手術したほうがいいと言われたんですけど、本当ですか?”とか“具合が悪いんですけど、がんかどうか占ってもらえますか?”とか。昔は妊娠の時期を占ったりすることもあったようですが、それも現代は医療技術が発展して妊活も行われる世の中なのでデリケートな領域ですね」
生死や病気にかかわることですね。ほかには?
「犯罪ですね。冷やかし半分のお客さんも中にはいて、実際に私のところに来たお客さんで、“いま人を殺してきたんだけど捕まりますか?”って言ってきて。そういう人には“自首してください”と言うし、仮に“どうやったら(犯罪が)うまくいきますか?”と聞かれたとしても、“やめてください”と言って鑑定を断ります。この方はウソか本当だったのかはわかりませんが、その後ニュースには出なかったのでウソだったんでしょうね」
それこそ、こうしたいとか、ああなってほしいみたいな、願望を占い師さんに相談する人って多そうですよね。
「そうですね。“あの女が死ねば彼が私のほうに来るはず”という話をしてきたお客さんもいました。“今、呪いをこめているんですが、あの人は死にますか?”とか“あの人が死ぬようにしたいんですが、どうすれば?”という方も」
恐ろしい。
「そういうふうに思うのは自由かもしれないけれど、それはよくないからやめたほうがいいというのをまず伝えますね。そのうえで、“そういうふうにやっていること、思っていることがもし好きな人に知られたら嫌われちゃうでしょ?”というふうに断っていますね。なるべくあきらめてもらう方向に舵(かじ)をとっています」
そういうルール的なのはどこかで教わったりするんですか?
「私が行っていた占いスクールでも教わりましたが、あとはそれぞれで境界線は少し違いますね。例えば“私は死にますか?”や“私はいつ死にますか?”という相談で占う人もいるようなのですが、これでもし死ぬと出てしまった場合、そう占われた人がもう普通には生きていけなくなってしまうと思うんです。そういった知らないほうがいいことは、私は受けてないです」
たしかに。それに一線を引いておかないと、占う側も巻き込まれたり逆恨みされたりという可能性もゼロではないですしね。世にたくさんいる占い師の中で自分に合う人を見つける方法ってあるのでしょうか?
「占い師さんのヒアリング能力とお客さんの伝達能力のマッチングというのが重要です。私の思う基準のひとつが、自分がオシャレな人ならオシャレな占い師さんに行ったほうがいいし、キチッとしたほうがいいならスーツとか着てカチッとしてる占い師さん、ラフが好きならラフな感じというふうにファッションでまずは選ぶとはずれにくいかなと。
どれだけ人気の美容師さんのところに行ったとしても、自分がしてほしい髪型や髪色が伝わらないと“アレ?”ってなりますよね。だから知らないところに行ってイチから全部説明するよりも、ファッションだったり価値観、フィーリングが近くて話しやすい人のところに何度か通ったほうが自分の思っていることが占い師さんに伝わりやすいでしょうから、より精度の高い鑑定につながるのではないでしょうか」
(取材・文/相良洋一)
《PROFILE》
LUA ◎コンピューター・グラフィックスのデザイナーを経て占術家へ(タロット、西洋占星術、ルーン、ダウジング、数秘術など)。東京・六本木でLUA’s BAR(占いバー)を営んでいたことも。占いにとどまらず、おまじないや心理テスト、コラムや児童向けの怖い話など幅広く執筆している。主な著書に『78枚のカードで占う、いちばんていねいなタロット』『「呪術」取り扱い説明書』『今日の推しの運勢』『いちばんていねいな、オラクルカード』があり、2021年12月には新刊も予定している。公式サイト=http://www.luaspider.com/