人間とともに社会で生きる猫たちの姿を、一歩一歩あゆむように伝える連載「猫の道フミフミ」。第3回はトルコのイスタンブールで暮らす地域猫を紹介します。
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先日、テレビの旅番組を見ていたらイスタンブールを取り上げていました。トルコは猫が多い国ですから、やはり画面に猫が映り込んでいました。イスタンブールの魅力が伝わるいい番組でしたが、猫の数には少し不満です。なぜなら、ここは本当に超がつくほどの猫だらけな街なんです。
以前、猫取材でヨーロッパを訪れた際に、経由地だったのでイスタンブールに1泊し街を散策したところ、たくさんの猫たちに会いました。そこで猫好きのみなさまに、可愛いイスタンブールの猫たちを紹介します。
イスタンブール観光で誰でも必ず訪れるのはスルタンアフメット歴史地区。ここには世界遺産の「アヤソフィア」や「ブルーモスク」「トプカプ宮殿」があり、そしてそんな世界遺産を背景にたたずむ猫たちの姿があります。世界遺産前の広場や公園、またこの周辺の売店やレストラン付近が猫スポットなんです。
観光客でにぎわう市場のあちこちで
ブルーモスクのすぐ近くはお土産屋さんが連なる「アラスタバザール」。ここにも猫たちが集まります。特に雨が降ったときは雨宿り、朝と夕にはご飯をもらいに姿を現すようです。ここに限らず散策中に、お店や食堂前でまるで看板猫のように人待ちしている猫たちに会えました。有名な巨大市場「グランドバザール」も徒歩圏内。お土産探しに加えて猫探しもできて、猫好きにはたまりません。
旧市街にも観光地慣れした猫たちが
スルタンアフメット歴史地区は旧市街と呼ばれる地域です。ボスポラス海峡を挟んだ反対側は新市街のエリア。もちろんこのエリアにも猫はいます。多くの観光客が集まるメインストリート「イスティクラル通り」はさすがに騒々しいので裏路地に行かなければ猫には会えません。でも、ガラタ塔付近のレストランには人通りが激しい店頭で爆睡する猫がいました。イスタンブールは一大観光地。人だけでなく猫もすっかり観光地慣れしているようです。
イスタンブール市内は猫がたくさんいます。猫が宝石店の店内に入っても追い払ったりせず、お客さんも気にしていない様子には驚きました。たくさんの猫たちが暮らしていて、猫と人が共存している印象を受けました。世界遺産がある街で、猫を探しながら散策するのも楽しいですね。
《執筆者プロフィール》
南幅俊輔(みなみはば・しゅんすけ) 盛岡市生まれ。グラフィックデザイナー&写真家。デザイン事務所コイル代表。現在、デザイン以外にも撮影、編集、執筆を手がける。2009年より外で暮らす猫「ソトネコ」をテーマに本格的に撮影活動を開始。日本のソトネコや看板猫のほか、海外の猫の取材・撮影を行っている。著書に『ソトネコJAPAN』(洋泉社)、『ワル猫カレンダー』『ワル猫だもの』(マガジン・マガジン)、『踊るハシビロコウ』(ライブ・パブリッシング)、『ハシビロコウカレンダー』『ハシビロコウのふたば』(辰巳出版)など。企画・デザインでは、『美しすぎるネコ科図鑑』(小学館)、『ねこ検定』(ライブ・パブリッシング)『ハシビロコウのすべて』『ゴリラのすべて』(廣済堂出版)などがある。