12月から電気代とガス代がまた値上がりする。9月以降はなんと、4か月連続で大手電力会社10社と大手都市ガス4社が値上げしている。今年1月と比べると、標準的な家庭で月に1000円以上も高くなることに。
しかも、気象庁の発表ではこの冬は例年よりも気温が低く、大手気象予報サイトのウェザーニュースによると、4年ぶりの厳しい寒さになるとの予測。この冬の光熱費は少しでも節約したいところ。そこで、電気代やガス代の節約ワザをクイズ形式で紹介します。
この冬は計画停電の可能性も!
「今年は電気とガスだけでなく、灯油も値上がりしているので、暖房費が家計を圧迫しそうです。それでなくても冬は光熱費が高くなりがち。少しでも節約するために、暖房器具や家電を上手に使いたいですね」と節約アドバイザーの丸山晴美さん。
さらに、経済産業省によると今冬の電力需給は過去10年間で最も厳しい見通しとのこと。需要が供給を上回れば、最悪の場合は計画停電のおそれも出てくる。それを回避するためにも、無理のない範囲での節電を経産省も呼びかけている。
「光熱費を節約するワザはたくさんありますが、みなさん、なんとなく知っているけれど細かいところまで把握できていなかったり、実は勘違いしていたりするものも結構あります」(丸山さん、以下同)
そこで、改めて冬の光熱費をお得にするための大事なポイントをご紹介。ぜひ、冬本番の前に備えてほしい。
丸山晴美 ◎節約アドバイザー・ファイナンシャルプランナー・消費生活アドバイザー。22歳のときにひとり暮らしで節約に目覚め、1年で200万円を貯めたことから節約アドバイザーの道へ。
【Q1】エアコンの暖房、何分以上の外出ならスイッチを切ったほうがお得?
(A)20分
(B)30分
(C)60分
エアコンでいちばん電気代がかかるのは、スイッチを入れた直後に部屋を冷やしたり暖めたりするとき。しかも、冬は夏よりも室温と外気温の差が大きいため、暖房のほうが消費電力は大きい。そのため、あまりこまめに暖房のスイッチをオンオフすると、余計に電気代がかかってしまう。
「30分以内の外出なら、つけっぱなしのほうが電気代の節約になります。特に戸建ては熱が逃げやすいため、一度切るとどんどん冷えるので要注意。ただし30分以上留守にするなら忘れずオフにしてください」
●正解はB。30分以内ならスイッチは入れっぱなしで!
【Q2】エアコンと一緒に使うと電気代がお得な家電は?
(A)加湿器
(B)除湿器
湿度と体感温度は密接に関係していて、乾燥していると私たちは寒いと感じる。そのため、暖房の温度を上げる前に加湿器をつけてみよう。湿度が上がるとより暖かく感じられるはず。ただし、湿度が上がると結露やカビ発生の心配も。
「ちょうどいいのは、40~60%の湿度です。エアコンを使うとどうしても乾燥するので、加湿器も使って湿度と温度のバランスを取ると電気代の節約になります。湿度計で正確な湿度を確認できるとなおよしです」
●正解はA。加湿器で湿度40~60%に保つのがポイント!
【Q3】ファンヒーターはどこに置くと効果的?
(A)部屋の真ん中
(B)窓際
(C)出入り口のそば
エアコンと違って動かすことのできるファンヒーターは、設置場所を工夫すれば効率よく部屋を暖めることができる。ファンヒーターは冷たい空気を取り込んで、その冷気を暖めて出す仕組みになっているため、冷気が入り込んでくる窓際に置くのが正解だ。
「ファンヒーターを窓の反対側の壁際に置いてしまうと部屋が暖まるのが遅くなり、光熱費が余計にかかってしまいます。ただ、窓際に置く際は火事にならないよう、カーテンなどに気をつけて設置するようにしてください」
●正解はB。窓際に置いて効率的に暖めよう!
【Q4】湯たんぽと電気毛布、寒い夜におすすめなのは?
(A)湯たんぽ
(B)電気毛布
「電気毛布にかかる電気代は1時間で1円ほど。湯たんぽは中に入れるお湯を2リットル沸かすのにかかるガス代は2円くらい。お湯は一度入れればいいので、節約度が高いのは湯たんぽです。でも、湯たんぽは布団の一部しか暖めてくれないので、寒さ対策という点で考えると電気毛布に軍配が」
また、湯たんぽは低温やけどになりやすいので要注意。低温やけどを避けるためには、寝る前に湯たんぽを布団に入れて暖め、就寝時には布団から取り出しておく。その点でも暖かさに限界あり。
●光熱費が安いのはA、暖かさで選ぶならB
【Q5】ガスファンヒーターとオイルヒーター、光熱費が安いのはどっち?
(A)ガスファンヒーター
(B)オイルヒーター
部屋を乾燥させずに暖めてくれるため、近ごろ人気のオイルヒーター。一方、温風ですぐに暖かくなるガスファンヒーター。電気代もガス代も値上がりしている今、どちらがお得なのだろうか。
「オイルヒーターは、じんわりと暖かくなるのでやけどの心配がなく、小さな子どものいる家でも安心して使えますが、電気代は1時間約27円。エアコンに比べると高めです。ただ、ガスファンヒーターは電気代とガス代を合わせると1時間あたり約43円と、もっと高額です。でも、オイルヒーターに比べてガスファンヒーターはすぐに部屋が暖かくなるというメリットもあるので、部屋や用途に応じて使い分けるのがおすすめです」
●正解はB。ファンヒーターはすぐ暖まるという利点も!
【Q6】床暖房、こたつ、ホットカーペット。電気代がいちばんかからないのは?
(A)床暖房
(B)こたつ
(C)ホットカーペット
これからの季節に寒くなりがちの足元。床暖房やこたつなど、足元を暖めてくれる暖房器具の電気代も気になる。
「節電を考えるときに大事なのが、暖める範囲と暖かさの持続性。こたつは、暖める範囲が小さくてすむうえ、布団がかかっているので熱を逃がしにくいです。ホットカーペットは、暖めたい広さに合わせて調整することができるのが節電ポイント。そのため、電気代がかからない順番は、こたつ→ホットカーペット→床暖房になります」。今年の冬は、節約のためにもこたつに入り、上半身が寒ければ上着1枚追加で乗り切りたい。
●正解はB。小さい範囲と熱を逃がさない布団で電気代減!
【Q7】料理の再加熱、レンチンと直火、どっちが得?
(A)鍋ごと冷蔵庫に入れて、そのまま火にかける
(B)保存容器に移して冷蔵庫に入れ、レンジで温める
「1人分を温めるなら、電子レンジを使ったほうが節約できます。仮に500Wで1分加熱しても電気代は0.1円くらい。レンジは温まるまでの時間も早いのでおすすめです」
冷蔵庫でキンキンに冷えた鍋ごと火にかけると時間がかかるので、1人分を取り分けてレンジで温めるのが光熱費の点からは正解だ。また、炊飯器で炊いたご飯が余ったら炊飯器に入れたまま保温モードにせず、「小分けにして冷凍&食べるときレンチン」がおすすめだ。
●正解はB。食べる分だけ取り分けてレンチンがお得!
【Q8】野菜の下ゆではコンロとレンジ、どっちが節約?
(A)ガスコンロを使って鍋でゆでる
(B)レンジでチンする
料理の下ごしらえの「野菜の下ゆで」。鍋でゆでるかレンチンか悩むところだ。
「ガスコンロを使う場合は、ゆでるための水も必要になるので光熱費が結構かかります。レンチンの場合は、ダイレクトに電磁波をあてるから火の通りが早いので、下ゆではラップしてレンチンがおすすめです」
ただし、量が多い場合は鍋でゆでたほうがいい場合もあり。
●正解はB。レンチンなら短時間でOK!
【Q9】食器洗い、食洗機と手洗い、節約になるのは?
(A)食洗機を使う
(B)手洗いをする
食洗機は水道代がかなりかかると思っている人もいるかもしれないが、実は違うという。
「食器を手で洗うとお湯を出しながらになって結構な水を使いますが、食洗機はお湯をためて循環させて洗っているので、少ない量の水ですみます。手で洗うのに比べて、電気代を含めても4~5人家族で年間約1万8600円の節約になるという計算もあります」
これを機に食洗器の導入を考えるのもいいかもしれない。
●正解はA。食洗機で水道代を大幅カット!
【Q10】お湯を沸かすならやかんとポット、安いのは?
(A)必要なときにやかんで沸かす
(B)いつでも使えるようにポットで保温
寒い冬は温かい飲み物で温まりたい。飲みたいときにすぐ使えるように電気ポットでお湯を用意している人も多いのではないだろうか。
「ポットでの保温は、使わないときも温めているので電気代が無駄になります。できるだけ保温機能は使わないようにしましょう」
1日中ポットで保温した場合は約27円。一方、やかんで1リットル沸かすガス代は約2円。手間でも必要なときに必要な分だけやかんで沸かしたほうがお得なのだ。
●正解はA。やかんで沸かすほうが無駄なし!
【Q11】前日の冷めてしまったお風呂、光熱費を抑えながら温める方法は?
(A)追いだきをする
(B)新しくお湯をためる
たくさんの水とガスを使うお風呂。少しでも節約するためには前日の残り湯を捨てて新しくお湯をためるのか、追いだきで温め直すのか悩ましいところ。
「追いだきは、温かいお湯を循環させて温めるので、時間がかかります。特に冬場は、冷めきった状態から温めるのでよりエネルギーを使います」
浴槽のお湯を200リットルとすると15度まで下がった残り湯を40度に温め直すと約80円のコストがかかる。一方、お湯を新しく入れる場合は、水道代を入れても約65円。温め直すよりもお湯を張ったほうが光熱費の節約になるのだ。
●正解はB。お湯が冷えていたら新しくためるべし!
【Q12】水道代を抑える洗濯機の賢い使い方は?
(A)お風呂の残り湯で洗う
(B)スピードコースで洗う
(C)設定水量を減らして洗う
洗濯機は1回の使用で約80~150リットルもの水を使うため、水の量を抑えることが節約のポイント。
「お風呂の残り湯は水道水より温かく、洗剤が溶けやすいというメリットはありますが、衛生的に抵抗がある人もいると思います。それならば、すすぎを通常コースの2回からスピードコースの1回にしてはどうでしょう」
すすぎ1回でもOKという洗剤もあるので、活用してみるのもおすすめ。なお、洗濯機の設定水量を少なくして洗うと、汚れや洗剤を落としきれなくなる可能性があるので、避けたほうがベターだ。
●正解はB。残り湯が気にならなければAとBの合わせワザにするとよりお得!
【お得コラム1】 「契約アンペア数」を見直すと年間約7千円の節約に!
電気の基本料金は契約している「アンペア数」で決まっている。東京電力では、40アンペアは1144円、60アンペアは1716円。1か月で約600円、年間にすると約7千円の差が。
「アンペアを採用している電力会社は、北海道電力、東北電力、東京電力、北陸電力、中部電力、九州電力の6社。この地域にお住まいの人は、アンペア数を下げると電気代を抑えられます。戸建ての場合は60アンペアが一般的ですが、お子さんが独立して夫婦2人だけなら、40アンペアに落としても問題ないと思います。一度アンペア数を見直してみてはどうでしょうか。明細書に契約アンペア数が書いてあるはずです」
【お得コラム2】 この冬は「ウォームシェア」で省エネ&家族団らん!
「ウォームシェアは、複数の暖房機を使用するのをやめて、なるべく1つの部屋に集まって消費エネルギーを抑えること。電力不足が心配されているこの冬は特に注目されています」
リビングのカーテンを断熱性の高いものに替えて熱を逃がしにくくするとさらに節約が可能に。この冬は家族団らんで節約しちゃおう!
【お得コラム3】 家電は省エネ機種に買い替えて商品券ゲット!
エアコンや冷蔵庫などの買い替えを検討している人に朗報なのが「東京ゼロエミポイント」という制度。都民限定だが、省エネ性能の高い機種に買い替えると、商品券とLED割引券がもらえる。温暖化対策として2022年3月まで実施予定。
「現在は半導体不足などで電化製品の在庫が不足しがちなので、購入を検討している人は早めの交換を検討してみては」
(取材・文/鈴木晶子)