20年以上のキャリアを持ち、数々のドラマや映画で大活躍している神木隆之介(26)。4月18日スタートの主演ドラマ『連続ドラマW 鉄の骨』(WOWOWプライム・毎週土曜夜10時~)で、池井戸潤×神木隆之介という“最強タッグ”が実現。中堅建設会社に勤める熱血若手社員役を演じ、新たな一面が見られると話題が集まっている。圧倒的な演技力で多くの人を魅了する、実力派若手俳優の素顔とは――。

制服からスーツ姿へ

「たくさんの人気作がある池井戸作品で主役をやらせていただくのはやっぱりうれしいですし、同時にプレッシャーもあります。出演が発表されてから、役者仲間や多くの方々が“本当に面白い作品だから期待しているよ”って言ってくださって、“よし! 頑張ろう!”って気持ちになりました

 演じるのは、不器用だが希望を持って建設会社で働く入社4年目の富島平太。建設現場を愛する実直な26歳の青年が『業務部』へ異動を命じられ、“談合”をめぐる組織の理論に翻弄されていく。映画『ラストレター』での制服姿が印象深い神木のサラリーマン役は、少し珍しいように感じるが……?

童顔なので(笑)。20歳のころスーツを着たサラリーマン役に憧れていましたけど、実際に演じてみて、サラリーマンは大変だなというのがわかりました。平太はまだまだ未熟者だなと思います。その彼が酸いも甘いも、黒も白も見てどういうところに行きつくのかという成長物語でもある。

 ある程度、自分で信念を持って仕事をしていたのに急に部署が変わって、今まで自分なりに培ってきたものを完璧に崩されてしまうわけです。でも26歳って、自分が信じてきたものが1度、壊れる時期としてちょうどいいのかもしれないですよね。人生の物語が、すごく大きく動くような年齢なのかなと思います

 神木と平太は同い年。“26歳”の2人の共通点を聞いてみると、

「正義感が強いのと頑固は紙一重なところもありますけど、あえて平太を頑固というなら、そこは似ているのかもしれないです」

ベテランキャストと演技バトル!

神木隆之介 撮影/佐藤靖彦

 豪華な出演者が顔をそろえる今作。平太の上司役に内野聖陽と中村獅童、平太に大きな影響を与える談合を仕切るフィクサー役に柴田恭兵など、ベテランの実力派俳優と神木との熱い演技バトルも見どころだ。

「本当に尊敬している共演者の方々で圧倒されています。本番になるといい緊張感があって尾形常務役の内野さんは“僕が越えられない壁”として心を折れさせる存在でいてくださるので、本当にありがたいです

 柴田さんとは子どものころに1度、共演させていただいたことがあって、そのときの動画を見ながら懐かしいお話をさせていただきました。柴田さん演じる三橋さんと平太の関係性は人生の師匠と弟子のような側面もあって。年齢は祖父と孫のように離れているんですけど、平太の本音を優しく聞いてくれて諭してくれる。柴田さんが、僕がセリフを言いやすいようにそういう雰囲気を作ってくださるので本当にすごい方だなと思います」

 平太の恋人は現在、ドラマや映画に引っ張りだこの女優・土屋太鳳が演じる。神木いわく、これまでの役者人生で“数少ない彼女役”については、

「太鳳ちゃんとは、映画『るろうに剣心』で共演していて気心が知れていますし、とても自然な感じで演じさせてもらっています。大学時代からの付き合いで落ち着いた雰囲気のふたりの関係性が、最初からストレスなく出せたかなと思います」

 今年デビュー25周年の節目を迎える神木。仕事は順調で迷いはないようだが、ひとつ“葛藤”があるという。

最近、“結婚って、いつすればいいんだろう?”って、思い始めて(笑)。やっぱりクラスメートが結婚すると考えますよね。結婚願望はあります! 役者の仕事は、毎回新しい現場で自分の居場所を探さなければいけないんですよ。それで居場所を作ったと思ったらオールアップで、また次の現場で作るというその繰り返し。だから“本当の自分がいていいんだって、認められる場所ってどこだろう?”って思ってしまうことがあります。

 ひとつの形として、例えば結婚して奥さんがいて帰る場所ができて、“お帰り!”って言ってくれる。そうすると“ここは帰ってきていいんだ。自分がここにいていいんだ”って思える気がするし、そういう場所を持てたらすごく素敵だなって思うんですよね」

●大人になったと思う瞬間 後輩愛が止まらない!

25歳になったあたりから、後輩が愛おしく思えるようになりました。映画『ラストレター』で共演した森七菜ちゃんもそうですけど、これからの世代を担っていく子たちっていつもキラキラして希望に満ちあふれていて、すごく元気。本当にパワーをもらえるんですよね。
 年下の役者と共演して、彼らからパワーをもらっているってことを実感したときに“自分も大人になったんだな”って思います。事務所の後輩の松岡広大とか金子大地とかもそうですけど、そんなキラキラした後輩たちに、もっとおいしいものを食べさせてあげたいなぁって(笑)」

●神木隆之介の“これから” 育てるポジションになりたい 

「事務所の後輩に演技レッスンをするとか、その子にあったオーディションをアドバイスしてあげたり、お芝居でちょっと困ったことがあったら相談にのるアドバイザーのような手助けができたらいいなと思っています。

 僕の強みは24年の俳優生活のなかで、現場のスタッフのみなさんを見てきて、役者とマネージャーの両方の気持ちがわかることだと思うんです。かなりいいアドバイザーになる自信はありますよ!」

●いちばんオフになれる瞬間は? 幼なじみと過ごす時間かな 

「僕が中学生のときからの付き合いで、3歳年上の幼なじみがいるんですけど、その友達と会っているときがいちばんリラックスできるかな。疲れているときでも2人で夜中までカフェでお茶しながら、くだらない話をして爆笑したり、彼が勤めている会社のことをいろいろ聞いたりするのが楽しいです。

 そういうときは、完全に俳優・神木隆之介はどこかに行って、普通の26歳の男子になってる(笑)。会社のコスト削減の話とかも自然と話題に出るので、今回のドラマの役作りにも役立ちましたね」

WOWOW『連続ドラマW鉄の骨』

 

WOWOW『連続ドラマW 鉄の骨』
4月18日(土) 放送スタート
土曜夜10時~

(取材・文/井ノ口裕子)

(週刊女性2020年4月28日号掲載)