同様に、がん治療で身体に障害が残った場合には、税金の減免や交通機関の割引、公共料金の減免などが受けられる場合もある。
「各市区町村が行う『障害者手帳』という公的福祉サービスで、認定されれば福祉サービスや税制優遇が受けられます」
(5)支払いが免除される制度
障害者手帳は取得できなくても、「国民健康保険」や「国民年金」には収入がない場合の減免制度が設けられている。
「減免手続きをせずに支払いを滞納すれば、いざというときの年金や助成を受けられなくなるおそれも。意外と知らない人が多い制度ですが、支払いに困ったときには手続きを忘れずに」
公的な支払い以外にも、がんと診断されたら支払いが免除されるものもある。
「例えば民間の医療保険に加入している場合、保険料免除特約があれば支払いが免除される可能性が。同様に最近は住宅ローンにも、がんなどの病気になると支払いが免除される『特定疾病団体信用生命保険』つきのものが増えていますので1度、確認を」
助成の申請は“セルフサービス”と心得て
民間の保険やローンはもちろん、ここで紹介した公的な助成制度は自分から申請しない限り受け取れない。
「どんなときにどんな制度を利用できるのか、助成制度はどんどん更新されるので、本当に正しい情報なのか常に注意が必要。最近はインターネットで情報を検索する人も多いでしょうが、難しい場合、病院の相談窓口や『地域包括支援センター』に問い合わせれば、悩みや困りごとに応じた窓口を紹介してくれるはず」
ひとりで悩まず、積極的に利用して。
【PROFILE】
黒田尚子さん ◎CFP(R)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士、消費生活専門相談員資格取得。日本総合研究所に勤務後、1998年にFPとして独立。書籍やサイトなどの執筆、講演、個人相談など幅広く活躍中。
(取材・文/中村明子)
(週刊女性2020年9月29日・10月6日号掲載)