「どこか怖くて近寄りがたいオーラがあり、笑いを取りに行ってよくスベってた。例えば授業中、同僚教師のミスプリントを見つけ、“こりゃ(ペナルティーは)生中3杯(生ビールの中ジョッキ3杯)やな”とボケたもののクラスはシーン。
おもろないから笑いが起きひん。いつも酒に絡めた中学生にわかりにくいボケばかりだから数学の時間は静かだった。酒好きなので陰では“アル中(アルコール依存性)”と呼んでいた」
酒の話はしても、女性の話はしない。生徒が女性アイドルの話で盛り上がっても口を挟むことはなかった。独身なのに女子生徒に人気のあるタイプではなかったという。
犯行動機は運動不足?
西田教諭は犯行動機について、
「新型コロナウイルスで臨時休校になり、バスケットボール部で身体を動かせないストレスがたまっていた」
などと市教委側に説明したとされる。
しかし、盗撮を始めた6月は学校が再開されたばかり。思いどおりに部活動ができなかった面はあるとしても、痴漢を繰り返していたころにはストレスはかなり軽減されていたはずだ。バスケで培われたボールコントロールする手先のテクニックや身のこなしを悪用した“ファウル連発”だから退場は当たり前だろう。
学校はその朝、鉄道警察隊から連絡を受け、教頭が駅に身柄を引き受けに行った。それ以降、担任する2年生のクラスを含め、生徒には会っていない。
西田教諭は市教委側の聞き取りに大きな身体をすぼめ、
「自分の学校の生徒には何もやましいことはしていません」
とか細い声で弁明するのがやっとだったという。
《取材・文/渡辺高嗣(フリージャーナリスト)》