鈍感力トレーニング

(1)「いい人」をやめて、「あまり気の回らない人」に
(2)不安や心配ごとは、現実には起こらない
(3)ムリに反応しない、比べない、引きずられない
(4)自分がやらなくても、他力本願でうまくいく
(5)成功か失敗か、損か得かでクヨクヨしない
(6)完璧・理想を捨てて、自分にがっかりしない

(1)「いい人」をやめる

 人から悪く思われたくない人は多いものです。

福沢諭吉は、自分には莫逆の友(親友)はいないと話しています。友人とはいい加減に距離を保って付き合い、無理していい人に思われようとしませんでした」

 だからといって偏屈者ではなく、人と程よい距離を保つ達人でした。万人にいい人である必要はないのです。

(2)不安や心配ごとは“魔法の口癖”で

マイナスをプラスに変えてみる イラスト/上田惣子

「心配ごとの無限ループ」から抜け出す方法は?

「まず、思考や解釈を切り替える必要があります。例えば、お笑いコンビ、ぺこぱのツッコミに、『~とは言い切れない』という言葉があります。

 どんなネガティブな考えも、末尾に『〜とは言い切れない』とつけるだけで、プラスに変えることができます

 例えば「太った! ショック」と思っても、「〜とは言い切れない」とつけ足して続けると、気がラクになります。

(3)人に引きずられない

 人の話に耳を傾けることは大切ですが、注意も。

みんな、そう言ってるよ、というみんなはみんなじゃないということ。実はそう言っているのはその人個人だけの場合も。そこを見分け、常識的な意見がどこにあるのかを見極めることが、実は鈍感になるためには必要です」

(4)上手に人任せにする

『ひとりでやっていけると思う人ほど、迷惑をかけやすい』。かなり前の雑誌の投稿ですが、記憶に残っています」

 責任感でガチガチの人は迷惑をかけまいと、ひとりで抱え込み、かえって大きな迷惑をかけてしまいます。上手に助けてもらう習慣で、自分も周囲もラクになります。

(5)結果よりプロセス

 自分が「負け組」だと落ち込む繊細な人には次の言葉を。「渋沢栄一は『お金は仕事の滓(かす)だ』と言いました。お金は仕事で出た滓にすぎず、どんな仕事をするかが大事。勝ち負けや貧富で、重かった心が軽くなりませんか」

(6)完璧を目指さない

「私自身の経験から言うのですが、完璧主義の学生に限って、何かをやれと言うと、自分はできないと尻込みする。やらせてみると、かなりいいものを提出してくるのに、です。最初から満点を目指さず、60点を目指せばいい。そしてそこから、修正を重ねて満点に近づけていけばいいのです」

 鈍感になる練習でラクになれば、きっと前へ進めます。

『鈍感になる練習』齋藤孝著(内外出版社)※記事の中の写真をクリックするとアマゾンの紹介ページにジャンプします
◎お話を聞いたのは……齋藤孝さん
明治大学文学部教授。東大法学部卒。同大学院教育学研究科博士課程を経て現職。著書多数。コメンテーターとしてもテレビ出演多数。

(構成/ガンガーラ田津美)

(週刊女性2021年4月27日号掲載)