負の感情を作品に昇華
「誰にでも腹が立つこと、憤ること、悲しいことってあるでしょう。悪態をつきたいけれど、でもそれを口に出してしまったら、人間関係は崩れてしまうから、心に閉じ込めてしまうわけ。そこで、自分の心にある負の感情を俳句の力を借りて、作品として昇華させるのが悪態俳句です。俳句は喜怒哀楽をそれぞれ表すことができるから、その“怒”の部分ということだけれども、昨今の状況ではいつもよりもさらに、さまざまな“悪態”が発見できるかもしれませんね」
ただし、悪態を悪態のまま17音にすればいいわけではない。作品にして昇華させるべく、さっそく悪態俳句の作り方を夏井さんに教わろう。
悪態俳句の作り方
まずは『悪態句集』の夏井先生の作品を見てみよう。
いちばん共感をよんだと話題の句
句(1)あなたがたもセイタカアワダチソウでしたか
気がつくのは、どんな状況で、誰に腹を立てているのかといった情報は何もない。
例えば、句集の中でも反響の大きかった句(1)『セイタカアワダチソウ』も、誰と何があったのかは詠まれていない。
「セイタカアワダチソウは、外来種の雑草ですさまじい勢いで増えていく、嫌われものの雑草です。ここがわかれば、この句の言わんとすることもわかってくるでしょう。なんでみんな悪態をつきたいかというと、自分に負荷をかける人がいるから。でもどんなことがあったか、誰に負荷をかけられているかをストレートに表現しないのが、悪態俳句の“ミソ”であり醍醐味なんです」
しかし、何があったか言いたい、にっくきは誰であるかを詠みたい。そうすればきっと胸もスッとするはずだ。