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命を奪う殺人や大事故、社会的関心の高い子どもの虐待死などは、その背景にまで踏み込んだ続報であふれている。しかし、日々新たに発生するニュースに呑み込まれてほとんど続報されない事件も……。そんな、ちょっと気になっていた“あの事件”を独自に追う。

渡辺高嗣「続報のないニュース」

《埼玉・秩父》64歳無職の賽銭泥棒、犯行の一部始終と“仕事嫌い”の素顔【動画あり】

SNSでの感想
平容疑者が賽銭を盗む瞬間(6月25日)=秩父今宮神社提供
目次
  • 日付を見なければ錯覚しそうなほど
  • 急にミュージシャンぶることもあった
  • 自分の心を映しているのです

「事件当日、参拝時間が終わると社務所を閉め、午後5時ごろ妻と帰宅の途につきました。神社を出てすぐ、境内にある植木の健康状態が悪かったことを思い出し、妻が詳しい状態を確認するため神社に戻ったんです。

 すると、本殿の賽銭(さいせん)箱にゴソゴソと棒を突っ込んでいる男がいて、“何をしているの?”と声をかけると、“賽銭箱の中に物を落としちゃって”と言い訳して逃げるように去っていった。そんなことはないだろうと防犯カメラの映像を確認すると、賽銭の千円札を2枚盗むところがしっかり映っていたんです

 盗難被害にあった「秩父今宮神社・八大龍王宮」(埼玉県秩父市中町)の氏子総代・井上貞雄さんは6月25日の出来事をそう振り返る。

 同神社の境内に設置された賽銭箱から現金約2000円を盗んだとして埼玉県警秩父署が6月27日、窃盗の疑いで逮捕したのは同県秩父市蒔田の無職・平重壽容疑者(64)。犯行2日後にスピード逮捕された背景にはツイッターの活用があった。

 被害届を出した神社がツイッターに防犯カメラの映像を投稿したところ、「似た男が目の前にいる」などと同署に通報が入った。たまたま警察署の近くをとぼとぼ歩いていた容疑者は犯行時と同じ服装で、駆けつけた警察官に任意同行を求められた。

「2000円が惜しくて情報提供を呼びかけたわけではありません。何らかの事情でお金に困っていたのかもしれませんが、悪いことをしてもいい理由にはなりません。例えば子どもが賽銭箱から10円玉を盗んだとしたら、少額だからと目をつぶらず、叱ってあげないといけない」と前出の井上さん。

 平容疑者は逮捕当初の取り調べに対し、

「納得がいかない」

 などと容疑を否認している。

 地元記者はこう付け加える。

「周辺では同様の被害がいくつか確認されており、警察は関与の有無を慎重に調べている」

賽銭箱は上からのぞき込むくらいでは中身は見えにくかった
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