昔のやり方は超危険だった!
学校で身体の柔軟性を測定するために、台の上に立って前屈をしたことがある人も多いだろう。前屈はお尻やもも裏を伸ばすストレッチだが、立った状態で行うと非常に危険だという。
「昔のやり方には危険なものが多くありますが、立ったまま行う前屈はその代表。体勢が不安定なうえに、頭を上げたり下げたりするので、立ちくらみを起こして転倒事故を招きやすくなります。最悪の場合は骨折するケースも。しかも、伸ばしたいはずのお尻ともも裏の筋肉で体重を支えているので力が入ってしまい、ストレッチとして効率が悪いです。そのため、現在は学校でもこの方法は一切行われていません」
前屈の正しいやり方は、座って足を前に伸ばし、重ねた座布団など少し高い段差に腰を置いて、ゆっくり体重をかけながら足先に向かって手を伸ばすこと。お尻やもも裏に力を入れず、上半身の重さを利用して伸ばしていくのがポイントだ。
よくやる間違いで脱臼の危険が!
もうひとつ注意したいのが、ストレッチのポーズを間違えて脱臼の危険を伴うケース。
「勘違いされて行いがちなのが、壁に手をついて胸筋を伸ばすポーズです。正しくはひじを伸ばして行いますが、ひじを曲げたまま行って肩関節にひねりを加えてしまう間違いが多く見られます。肩関節を脱臼する危険があり、注意が必要です」
ストレッチの代表格も間違っている!
そして最後は、ストレッチの代表格のような存在の腕を使い肩を伸ばすポーズだ。
「胸の前で腕を交差し、肩まわりの筋肉を伸ばすポーズですが、なぜか昔から腕を水平に引き寄せるという間違ったポージングが浸透しています。しかし、水平方向だと肩はきちんと伸ばせないため非効率。正しくは手のひらを上に向けて逆側の腕に乗せ、下から上に向かって引き上げながら伸ばします」
このように、昔習ったなじみのあるストレッチポーズにも、危険で効率の悪いものが多くある。
ストレッチは、正しく行えばリラックス効果も高いため、自粛疲れでストレスがたまっている人にもおすすめだ。ぜひ正しいやり方を意識して、ケガをしないよう注意してほしい。
(取材・文/井上真規子 イラスト/関祐子)
(週刊女性2021年9月21日号掲載)