今年、そしてこれからの紅白に望むことは?

──最近は、視聴者投票を取り入れていることで、ほぼ白組が優勝しているんでしたっけ。

臼:それが昨年は、視聴時間に応じた投票数が得られるようにしたところ、男性グループのファンの投票数が相対的に少なくなったんですよ。その結果、視聴者投票で紅組優勢となり、そのまま紅組優勝となりました。やはり、自分の推しなどごく一部だけ見るのではなく、全体を通して楽しんでもらうのが紅白の醍醐味(だいごみ)ですよね。

カ:ただ、紅白どちらかに全部の票を入れなくてはならなかったので、そこは改善の余地がありますね。例えば、5票あれば、紅白「一方に5票、他方に0」ではなく、4:1や3:2でも投票できるようにするとか。基本的には、視聴時間制は継続してもらいたいです。

──司会候補についてはいかがですか。紅組で上白石萌音さんの名前が挙がりましたが。

カ:僕は二階堂ふみさんが2年連続でも面白いと思いますね。そこに、女性司会でNHKのアナウンサーがサポートなさったら完璧ではないでしょうか。

臼:白組は、大泉洋さんですかね。ちょっとトークが多いですが……(笑)

カ:あの、しゃべりすぎて、ほかの人にツッコまれるのがお決まりのパターンなんですよ(笑)。番組責任者を務める『SONGS』も好調で、来年の大河ドラマにも出ますし、9割がた間違いないと予想します。

──さて、最後の質問ですが、紅白歌合戦は「みんなで歌える歌」か、「各世代が好きな歌」のどちらを披露すべきでしょうか。

臼:僕は、どちらも残してこその紅白かなと思っています。新しい曲と古い曲は6:4くらいがいいのでは。ただ、非常に個人的ですが、石川さゆりさんには、そろそろ『津軽海峡・冬景色』と『天城越え』のテレコから抜け出させてあげたいです。2007年以降、この2曲しか歌っていないのですが、この10数年の間には椎名林檎さんや奥田民生さんの提供作や、KREVAさんやMIYAVIさんと組んで伝統的な日本の歌をアレンジした意欲作もあるんですよ

カ:僕もバランスが大切だと思っていますが、石川さゆりさんのその2曲はカラオケの年間TOP100にずっと入っていますし、実際、僕も昨年『天城越え』を聴いて安心しました。

新:1年の総まとめという意味では、その年の代表曲が欲しいし、特に若い方は新曲を聴きたいでしょう。その一方で、懐かしのスタンダードを聴いて安心もしたいですね。例えば、松田聖子さんや郷ひろみさんは、今も新曲を出されていますが、紅白では誰もが知るアイドル時代の曲を歌われますよね。それによって、結果として、若い方を含め幅広い年代の方が楽しめると思います。

臼:あと、「一部の世代が好きな歌」として、あいみょんや、Official髭男dismなど若い世代中心の人気曲が選ばれるのもありですが、僕は、2000年代の秋川雅史さんや秋元順子さん、すぎもとまさとさんのような年配層中心の人気曲も紅白に選んでほしいですね。2010年の植村花菜さん『トイレの神様』なんて、初出場なのに、第2部にフルコーラスで歌って、“何としてでもオリコン1位よろしくお願いします!”みたいな意気込みが紅白サイドから感じられたじゃないですか。サブスク時代だからこそ、あれくらいの強引さを年配向けのヒット曲で見せてほしいです(笑)

カ:五木ひろしさんは紅白に50回出場していますが、歌唱した楽曲のレパートリーは40曲以上とぶっちぎりで1位なんですよ。つまり、あれだけ幅広い世代の知るヒット曲がありながら、その年の新曲もかなり歌われている……。そのあたりは、自分のWebサイトでも詳しく語っているので、よかったら読みにきてください!

臼:何はともあれ、紅白で新年を穏やかに迎えたいですね!

新:私も演出込みで平和な紅白を熱望します

──ということで、愛と情熱の紅白歌合戦予想座談会は、これにてお開きとします。本番は、よりいっそう盛り上がりそうですね!

(構成・文/人と音楽をつなげたい音楽マーケッター・臼井孝)