占い師が占えないこと

 ちなみに、素朴な疑問として占い師が占えないこと、占ってはいけないことみたいなルールってあるのだろうか?

いちばんいけないのは医療にかかわることですね。私たちは医師ではないので。“手術したほうがいいと言われたんですけど、本当ですか?”とか“具合が悪いんですけど、がんかどうか占ってもらえますか?”とか。昔は妊娠の時期を占ったりすることもあったようですが、それも現代は医療技術が発展して妊活も行われる世の中なのでデリケートな領域ですね」

 生死や病気にかかわることですね。ほかには?

犯罪ですね。冷やかし半分のお客さんも中にはいて、実際に私のところに来たお客さんで、“いま人を殺してきたんだけど捕まりますか?”って言ってきて。そういう人には“自首してください”と言うし、仮に“どうやったら(犯罪が)うまくいきますか?”と聞かれたとしても、“やめてください”と言って鑑定を断ります。この方はウソか本当だったのかはわかりませんが、その後ニュースには出なかったのでウソだったんでしょうね」

 それこそ、こうしたいとか、ああなってほしいみたいな、願望を占い師さんに相談する人って多そうですよね。

「そうですね。“あの女が死ねば彼が私のほうに来るはず”という話をしてきたお客さんもいました。“今、呪いをこめているんですが、あの人は死にますか?”とか“あの人が死ぬようにしたいんですが、どうすれば?”という方も」

 恐ろしい。

「そういうふうに思うのは自由かもしれないけれど、それはよくないからやめたほうがいいというのをまず伝えますね。そのうえで、“そういうふうにやっていること、思っていることがもし好きな人に知られたら嫌われちゃうでしょ?”というふうに断っていますね。なるべくあきらめてもらう方向に舵(かじ)をとっています」

 そういうルール的なのはどこかで教わったりするんですか?

「私が行っていた占いスクールでも教わりましたが、あとはそれぞれで境界線は少し違いますね。例えば“私は死にますか?”“私はいつ死にますか?”という相談で占う人もいるようなのですが、これでもし死ぬと出てしまった場合、そう占われた人がもう普通には生きていけなくなってしまうと思うんです。そういった知らないほうがいいことは、私は受けてないです」

 たしかに。それに一線を引いておかないと、占う側も巻き込まれたり逆恨みされたりという可能性もゼロではないですしね。世にたくさんいる占い師の中で自分に合う人を見つける方法ってあるのでしょうか?

「占い師さんのヒアリング能力とお客さんの伝達能力のマッチングというのが重要です。私の思う基準のひとつが、自分がオシャレな人ならオシャレな占い師さんに行ったほうがいいし、キチッとしたほうがいいならスーツとか着てカチッとしてる占い師さん、ラフが好きならラフな感じというふうにファッションでまずは選ぶとはずれにくいかなと。

 どれだけ人気の美容師さんのところに行ったとしても、自分がしてほしい髪型や髪色が伝わらないと“アレ?”ってなりますよね。だから知らないところに行ってイチから全部説明するよりも、ファッションだったり価値観、フィーリングが近くて話しやすい人のところに何度か通ったほうが自分の思っていることが占い師さんに伝わりやすいでしょうから、より精度の高い鑑定につながるのではないでしょうか」

(取材・文/相良洋一)

LUAさんの著書『78枚のカードで占う、いちばんていねいなタロット』1870円(税込)/日本文芸社

《PROFILE》
LUA ◎コンピューター・グラフィックスのデザイナーを経て占術家へ(タロット、西洋占星術、ルーン、ダウジング、数秘術など)。東京・六本木でLUA's BAR(占いバー)を営んでいたことも。占いにとどまらず、おまじないや心理テスト、コラムや児童向けの怖い話など幅広く執筆している。主な著書に『78枚のカードで占う、いちばんていねいなタロット』『「呪術」取り扱い説明書』『今日の推しの運勢』『いちばんていねいな、オラクルカード』があり、2021年12月には新刊も予定している。公式サイト=http://www.luaspider.com/