「え、いったいどうした?」誰にでも心に残る「残念な映画」があるはず☆ そんな“愛すべきトホホ映画”についてアンケートを実施した記事が『ツッコミどころ満載!残念すぎて逆にどハマり!愛すべき「トホホ映画」とは』。では、プロが考える「トホホ映画」とは? 映画ライターのよしひろまさみちさんに解説してもらいました。

よしひろ的トホホ映画4選

 トホホな気分にさせられる映画には、3つのパターンがあります。

 ひと〜つ、期待値が高かった映画。ふた〜つ、勝手な先入観があって見たら悪い意味で裏切られた映画。みっつ〜、「なんでこんなもん作った?」と存在意義すら見いだせないクズ映画。この3つのどれかよね。

 みっつ目以外は主観があってのトホホ判定なので、個人差が出るところだけど、みっつ目は客観的にダメ、ほんとにダメ、って感じかしら。ということで、よしひろが個人的にトホホを味わった2作と、こりゃー誰が見てもトホホだろ、という作品をご紹介します。

 まず期待値が高かったばかりにトホホだったのは『サスペリア』1977年版ではなくて、2018年版ね。これって、ある一定の年齢以上の人は「決して、ひとりでは見ないでください(キャ~!)」というCMで大ブレイクした1977年版のイメージが強烈すぎて、「とてつもなくコワイ」という刷り込み教育がされてるのよね。だからこそ、期待しちゃうわけですが、2018年版は……なんじゃこりゃ。

 物語の舞台となるバレエカンパニーがガチすぎることや、魔女の登場までに2時間かかること、極めつきは終盤で見せられる黒ミサ狂気の群舞よ(ネタバレになるのでこれ以上は避けますが、狂気としか言いようがない)。マジで「あたしはいったい何を見せられてるんだろう……」という気分になり、1977年版を数十年ぶりに見直してみたら、あらびっくり。1977年版もコワくなかった。ほんと、CMの効果って絶大よね……というトホホに陥りました。

 悪い意味で裏切られたのは、『ストーンウォール』。破壊王ローランド・エメリッヒが、なぜかアメリカLGBTQ+人権運動の礎となった、1969年に起きた事件「ストーンウォールの反乱」を劇映画化したという代物。

 ゲイバーに集まる性的少数者を不当に取り締まろうとした警官と、その場にいた客たちがガチンコ衝突したという歴史的事件なんですが、これが……史実と違う。違いすぎて怒りすら覚える。それだけに見終わったあと、「エメリッヒさん、何してくれちゃってんのよ」とトホホ。だって、一応は巨匠なわけじゃないですか、エメリッヒ。だからこそ、基本はちゃんとしろよ!と怒りとあきれで気分悪くなりました。

 いや、物語は面白いんだけどね、フィクションだったら。と、フォローしてみたところで、白人男ばっかり活躍するのもいけすかん!

 最後に誰の目にもクズなトホホ映画は……『エアベンダー』『バトルフィールド・アース』かなー。もはや説明不要なほどにつまらないのに、寝る隙を与えてもくれない拷問のよう。どんだけトホホかは一度ご体験を。

『サスペリア』

(2018年/監督:ルカ・グァダニーノ/153分)

ホラー映画史に名を刻むダリオ・アルジェント監督の同名オリジナル作品のリメイク。世界的に有名なバレエ団に入団するためにアメリカからやってきたダンサーのスージー。彼女の周囲で奇妙な失踪事件が続発。やがてバレエ団の知られざる闇が明らかになる。

『サスペリア』2018年/監督:ルカ・グァダニーノ/153分
『ストーンウォール』

(2015年/製作・監督:ローランド・エメリッヒ/129分)

ゲイであることが発覚し、故郷のインディアナ州を追われるように、ニューヨークへとやってきたダニー。ゲイのギャングを率い、美しさを武器に身体を売って暮らすレイ。N.Y.グリニッジ・ビレッジに集った若者たちの孤独と戦いの青春を描く。

『ストーンウォール』2015年/製作・監督:ローランド・エメリッヒ/129分
『エアベンダー』

(2010年/監督:M・ナイト・シャマラン/103分)

火の国の反乱により均衡が崩れてしまった世界に平和を取り戻すため、気の国の少年・アンが4つのエレメントを操る“アバター”となり立ち上がる。『シックスセンス』のシャマラン監督による壮大な戦いを描いたアクション・アドベンチャー。

『エアベンダー』2010年/監督:M・ナイト・シャマラン/103分
『バトルフィールド・アース』

(2000年/監督:ロジャー・クリスチャン/117分)

西暦3000年、文明を9分間で壊滅させた異星人・サイクロ人の侵略により荒廃した地球。全宇宙の支配をもくろむサイクロ人と、生き残って奴隷にされ、石器時代同然の生活を強いられている人間たちとの壮絶な戦いを描く。製作・主演はジョン・トラヴォルタ。

『バトルフィールド・アース』2000年/監督:ロジャー・クリスチャン/117分

【豆知識】トホホ映画を格付け!ラジー賞

 ラジー賞こと「ゴールデンラズベリー賞」とは、最低映画に贈られるアメリカの映画賞。

 アカデミー賞授賞式の前夜に「最低」のダメ映画を選んで表彰(?)します。ラジー(Razzie)とは、「ヤジる」(Razz)を元にした造語。

 映画人が恐れるこのラジー賞、しゃれのわかる映画人(サンドラ・ブロック)は授賞式に現れたりしますが、基本的には受賞者不在(当たり前か)。

 ラジー賞の最多受賞者はシルヴェスター・スタローンマドンナ(共に20世紀最低主演男優賞と女優賞を受賞!)。「ダメ映画が見たいならラジー賞受賞作をチェック!」(よしひろまさみちさん)

有名なラジー賞受賞作品

2000年代最低作品賞:『バトルフィールド・アース』
2019年:『キャッツ』
2010年:『エアベンダー』
2004年:『キャットウーマン』
1985年:『ランボー:怒りの脱出』

(取材・文/ガンガーラ田津美)

(週刊女性2021年11月16日号掲載)