広がるミニチュアカプセルトイの世界

 多くの女性を魅了しているカプセルトイのなかでも、“1980年代アイテムのミニチュア”が特に人気を博しているという。

代表的なのが、フィギュアメーカー・ケンエレファントのミニチュアです。同社では『日世のソフトスタンド』や、実在する老舗純喫茶のホットケーキなど、特徴的なミニチュアのカプセルトイを多く展開しています」(おまつさん)

 そこでさっそくケンエレファントの企画担当者を直撃。カプセルトイのコンセプトについて聞いた。

当社がミニチュア化するプロダクトは、長年多くの人に愛されている製品を選ぶ傾向があるので、懐かしさを感じるものが多いです。企画担当者が1980年代に思い入れが強い年齢なのも影響しているかもしれません(笑)

 同社のカプセルトイのなかでも、老舗家具メーカー「カリモク60」からライセンス使用許諾を得て開発したミニチュアは、2019年の発売から累計70万個を生産しているロングセラーシリーズだ。

ケンエレファントの人気商品「カリモク60ミニチュアファニチャー」。左上が手に持ったときのサイズ感 (c)KARIMOKUFURNITUREINC.ALLRIGHTSRESERVED. 

「当社のミニチュアは、実在するプロダクトから公式ライセンスを取得して“本物のミニチュア”を作るのがテーマのひとつです。そこで、長い歴史を誇る『カリモク60』に、お声がけしてプロジェクトがスタートしました」(企画担当者、以下同)

 先方もケンエレファントからの提案を快諾。さっそくミニチュアの製作に取り掛かった。

とくに重視したのは“素材感”です。高級家具をミニチュアにしたときにチープにならないように意識しました。本物の椅子にもある『ブランドプレート』の再現や、実際の家具に使われている木材や革の見た目が再現できるよう、部分ごとに光沢感を変えるなどした工夫を施し、細部にこだわって作っています」

 2019年7月に開催されたフィギュアの展示即売イベント「ワンダーフェスティバル」で「カリモク60」を先行発売すると、午前中には完売。本発売後も「憧れのカリモク60のミニチュアが500円で手に入る」と大きな話題を呼んだ。

カリモク60を購入したお客さんが、ミニチュアのソファに自分のフィギュアを座らせて撮った写真をSNSにあげてくれたので、さらに認知度が上がりました。私たちはフィギュアと一緒に撮ることをあまり想定していなかったので『こんな発想もあるんだ』と驚いたのを覚えています

 ケンエレファントでは、今後もミニチュアのカプセルトイを展開する予定とのこと。

ゆくゆくは当社のミニチュアの“博物館”を作るのが目標です。夢を実現するために、これからもさまざまなアイテムをミニチュアにしていきたいです」

 こだわりが詰まった、ステキなミニチュア博物館になりそうだ。

「コスモ星丸フィギュアマスコット」もケンエレファントの人気商品 (c)公益財団法人つくば科学万博記念財団