文化を伝えるカプセルトイも
そのほか、ガチャガチャというツールを使って販路を広げた例もある、とおまつさん。
「愛媛県宇和島市の特産品“あこや真珠”のアクセサリーが当たる『あこや真珠ガチャ』は、宇和島市の道の駅にガチャガチャマシンを設置したところ、爆発的にヒットしました。本物のあこや真珠が1000円で手に入るのは、すごくお得ですよね」
現在、愛媛県などの真珠養殖場では、原因不明の“あこや稚貝の大量死”が頻発している。そんな暗いニュースを吹き飛ばすために、希少な日本産のあこや真珠のアクセサリーをカプセルに入れて販売したところ、またたく間に話題に。設置依頼が殺到し、年内には全国200か所で「あこや真珠ガチャ」が楽しめるようになるという。
「石川県の伝統工芸品・九谷焼が景品になっている『九谷焼ガッチャン』というガチャガチャも興味深いです。自動販売機にお金を入れてボタンを押すと、小さな箱が出てきます。箱の中にはアクセサリーや箸置きなどの小物がひとつと、作者の情報が書かれた解説書が同封されているので、クリエイターを知るきっかけにもなります。開封前は中身が見えないので何が当たるかわからないワクワク感もありますね」(おまつさん、以下同)
「九谷焼ガッチャン」は、羽田空港や東京駅に設置されており、旅行のお土産に買う人が多いとか。手のひらサイズの小物がかわいい!
「福岡には『博多人形』のカプセルトイもありました。このように、ガチャガチャに特産品が入っているとお土産にもなるし、若い人も気軽に購入できますよね。ガチャガチャ自体が日本の文化になっていますが、地域の文化を伝えるツールとしても活躍しているようです」
回す瞬間の笑顔が大切
これまで数々のレバーを回してきたおまつさんは、ガチャガチャの魅力をこう語る。
「ガチャガチャのレバーを回すときのワクワクは、非日常が感じられる。その瞬間は子どもも大人も笑顔になるんですよね。そしてカプセルトイメーカーは、お客さんを笑顔にするために、24時間アイデアを出しつづけています。メーカーはすべて当たりだと思って作っているので、ガチャガチャの景品は“すべて当たり”なんですよね」
なかには、景品のクオリティーを上げすぎて赤字になっているものもあるとか。
「カプセルトイは、毎月300アイテム以上の新作が発売されます。回転が速いので、そのときを逃したら売り切れてしまう可能性も大。気になるカプセルトイがあったら“一期一会”と思って、ぜひ回してみてください!」(おまつさん)
夢が広がるガチャガチャの世界。何げなく立ち寄ったカプセルトイ売り場で運命の出会いがあるかも?
◎ガチャガチャの森
東京都豊島区東池袋3-1-3 池袋サンシャインシティアルタ 1階
《PROFILE》
ガチャポン・ガチャガチャ評論家/おまつさん ◎ライター。テレビやラジオの出演を通じて、日本の文化であるガチャガチャの魅力を伝える。@withnewsでコラムを連載中。毎日ガチャガチャを回し、集めたカプセルトイは5000個以上!
(取材・文/大貫未来[清談社])