どんな状況でも命を救う!! というかイケメンだから??
その意味では、第2位にランクインした『コード・ブルー』の藍沢耕作(山下智久)も同じだろう。『ドクターX』にも言えることだが、医療従事者が「ありえない!」と口をそろえるような状況での緊急オペしかり、“どんな状況でも命を救う”天才的な姿勢に票が集まった。一方、山Pが演じるだけあって、こんな声が多いのも事実。
「藍沢に目を見つめられながら“任せろ”と言われてみたい」(福島県・44歳OL)
「“自分が必ず治す”なんて藍沢さんに言われたら……、それで昇天しちゃいそう(笑)」(埼玉県・52歳パート)
「駆けつけてきた藍沢さんに“もう大丈夫だから”とまっすぐに目を見て言われたい」(大阪府・37歳塾講師)
誰だってイケメンに診てもらいたい! ただ、吉田さんは「野暮なことは言いたくないけど」と前置きしたうえで、“メス”を入れる。
「『コード・ブルー』のテーマは緊急救命なので、おそらく山Pが駆けつけたときには意識がないと思うし、意識が戻ったときには総合病院のベッドの上でしょうから、違う先生のお世話になっているはず(笑)」(吉田さん)
もしも冥途(めいど)の土産になるなら、「山Pに!」という人もいるかもしれない。
技術よりも人格重視! もっとも万能な医者かも
第3位は、『Dr.コトー診療所』の五島健助がランクイン。
「“最大限まで頑張って、あとは運に任せよう”。これ以上は運しかない、というところまで診てくれるという感じがする」(大阪府・40歳会社員)
「五島先生の丁寧でわかりやすく、優しい口調で語りかけてほしい」(北海道・64歳無職)
吉岡秀隆が扮(ふん)する五島健助が無医村で奮闘する同ドラマ。先の2作とは違い、技術ではなく人柄が重視され、多くの支持を集めた。
「風邪も診断してくれるし、盲腸なども診てくれる。さらには、おじいちゃんやおばあちゃんの世間話にも付き合ってくれる。オールラウンダーという意味では、五島健助のような医師が一家に1台ならぬ、一村に1人いてくれたらありがたい。全医療ドラマの中で、もっとも万能な医者かもしれない」(吉田さん)
さらに、「丁寧でわかりやすい」という視聴者の意見に対しても吉田さんは、
「3分診療という言葉が叫ばれているように、機械的な説明が多い中で、患者と同じ目線で説明できる医師の存在は貴重」
と同意する。スペシャリストではないかもしれないが、人格者という意味では、天才医師とは違う「信頼」がある。
実際、医療ドラマの名作との呼び声高い『白い巨塔』が、ランキングでは旗色が悪い点は見逃せない。これまで、田宮二郎、唐沢寿明、岡田准一というように二枚目が演じてきた外科医・財前五郎だが、どれだけ顔と腕がよくても権威主義者であれば、視聴者の信用は得られないのだろう。国立浪速大学病院では政治力を発揮し、教授へと上りつめたが、全国の女性1000人が選ぶアンケートでは下位に沈んでしまった……。
優しくされたいけど、顔が……!?
続く第4位は、産婦人科を舞台とした『コウノドリ』の鴻鳥サクラ(綾野剛)。合理的でクールな四宮春樹(星野源)とともに命の尊さを描く。
「言葉でなく、1日中そばでピアノを弾いて癒してほしい」(神奈川県・45歳会社員)
「鴻鳥先生に優しくされたいけど、顔が綾野剛……。妊娠についていろいろなことを話すのが、恥ずかしくなるかも」(大阪府・46歳主婦)
吉田さんは、「過去のトラウマ体験によって現実的なことしか言わない星野源の役どころは、とても共感できた」と話す。
「産婦人科は不妊治療など、精神的にデリケートな領域を扱う。必要以上に温かい言葉を投げかけられるよりも、現実的なアドバイスをくれるほうが重くならないと、女性である私自身思います。また、産科医療のシビアな現実を、きちんと患者に伝えようとする描写も好感が持てた」(吉田さん)
実際の医療現場では、「絶対」、「完治する」といった言葉は使われない。万が一の際、言質を取られないためだ。裏を返せば、ドラマだからこそ「100%」、「絶対に」といった言葉が飛び交うわけだが、「それでもそういった言葉を使わない『コウノドリ』のリアルな世界が支持を集めたのではないか」と吉田さんは分析する。