年金は借金500万円の返済に
この『にょきにょき』のために、会社も立ち上げた。
「自分のアイディアがよかったら任天堂で出してほしいなと思っていたけど、やってくれないからしょうがなしに。だいたい僕、自分の会社、いつもしょうがなしに作ってる。人に雇ってもらえていると、どうも自分のテンションが上がらないんで」
その名もコンパイル〇(マル)株式会社。2016年の4月に創業し、同年11月にニンテンドー3DSのダウンロード版として『にょきにょき』が世に出ている。
──いかがですか反響は?
「並の売れ方なんでしょうね、よくわかんない。(投資額を)取り返すためには1桁か2桁足りない。定価800円ですから。何がダメだったかって、基本的にはネット対戦できないんですよ。だからそれがもう。それは出すまで気づかなかったんで」
──今の時代、どんどんネット対戦になってますもんね。ちなみに資金の回収は?
「基本的には生活だけなら年金でできたハズなんです。でも年金は『にょきにょき』を作ったときの借金500万円の返済に使っていて。あと1年はかかるんだけど、それが終われば一応、年金とYouTubeでギリやっていける」
開発、制作にかかった総額は約1000万円だったそうで、それまで貯金があったかといえば、
「0円です。僕はいつも貯金できないですよ。仮に月20~30万円稼いでも毎月お金が飛んでいきます。1000万円は、親の援助で500万円と残り500万円は国の政策金融機関から借りて。それが今、返しているやつね。いや、だから国はすごいなと思うんだよね。やっぱり経営者に優しいですよ。とりあえず500万円貸してくれる」
僕の視聴者、8割とか9割はコリアン
10年ほど前から何度かYouTubeのトライ&エラーも繰り返してきた。しかし、うまくいかず。『にょきにょき』を知ってもらうために、またYouTubeに熱心に取り組み始め、そして、さらに2017年からは現在のチャンネル『MOOTV』を開設したところ、意外な人たちに発見されて、2021年12月下旬の時点で登録数7700人を超える反響になった。
「韓国にコンパイルファンがたくさんいるんですよ。その人たちが気づいてくれて。僕の視聴者、8割とか9割はコリアン。だから書き込まれるコメントもハングルが多い。聞いてみると、どうも日本のゲーム会社で最初に韓国現地法人を作ったのがコンパイルみたいなんですよ。『幻世酔虎伝』っていう1997年のゲームがあるんだけども、それが韓国の学校のパソコンに全部入ってたんです。おかげで、ある意味で韓国でいちばん知られている日本のゲーム会社という……」
現在の配信頻度はというと、
「生放送が週1回。土曜日の18時から24時までやってるかな。あとは動画を本当はもう1本、週に1回上げたいんだけど、なかなかね。編集も自分でやっているので。このマイクとかのYouTube用機材も自分で買ったし」
精力的に活動を続ける理由がそこにはある。