順位が下がらないと連載が終わらない
──スクールカーストみたいな話が出ましたが、やっぱり人気ランキングって気にされてましたか?
浅美「私は気にしますよ、当然。だって人気商売なんだから」
光原「僕は単に今週何位だったって教えてもらえるだけでしたけどね」
浅美「年齢分布も(報告に)あったね。高くなればなるほど、アンケートの得票数は低くなって。だからといってターゲットにする年齢層が低すぎてもダメ。真ん中、ちょうど、真ん中世代を取れないと厳しい」
光原「中学生が一番多かった」
浅美「当時はそうだった。中学生から。もう高校に入ると年齢が上のほうになって。今はずいぶん上になったんですってね、ジャンプの読者年齢が」
光原「まあ、あれだよね。順位が下がるのは嫌なんだけど、でも下がらないと連載、終わらないから。なんで人気がずっとあるんだろう、真ん中らへんぐらいですよね。20本中、平均したらだいたい10位ぐらい。『アウターゾーン』はずっとそんな感じだったんだけど」
浅美「たまに3位とか4位もとってたじゃん。私はよくても5位とかだったから」
光原「一体この連載をいつまで続けないといけないんだろうって思いながらも、でも人気が落ちるのは嫌なんですよね。だから、わざと手を抜いて、つまらないのをやって人気を下げてやろうとか、そういうのはなかったですね。
ウケを気にして内容を変えるとか普通の連載だったらあるんだけど、僕は1話完結をずっと続けている感じだったから、そんな余裕ない。とにかく作らないといけないから。載せるのが精いっぱい。とりあえず毎回全力でやるみたいな」
浅美「読者から応援の手紙がいっぱいくる回と、アンケートがいい回は別だったりするんですね。ちなみに私、すごくお手紙がくる人だって言われていたんですね、当時」
ジャンプは天才であることがスタートライン
──ジャンプ作家さんって、やっぱりモノが違うというか。そもそもデビューすること自体が、狭き門じゃないですか。何年かかりました?
浅美「20歳で投稿を始めて、デビューはその年」
──天才ですね! すごいです。
浅美「ジャンプは、天才であるっていうのが、まずスタートラインに立つ条件なので、別に普通です。それ以上にすごい人がいっぱいいる。10代でデビューしている人もいっぱいいるわけだから」
光原「僕はちょっと遅かった。投稿したのが大学4年、21歳ぐらい。就職しようか、それとも漫画家の道にいこうか迷っていて。佳作に入ったから、じゃあ漫画のほうにしようと。デビューしたのはその2年後ぐらいかな?」
浅美「23歳ぐらいじゃなかった? 『リボルバークイーン』(87年)だよね」
光原「そうだね」
◇
※インタビュー第2回は『ジャンプ作家の夫婦が漫画家人生を語る「億ってすぐなくなっちゃう」「あそこで終わらなかったら死んでいた」』
(取材・文/相良洋一)
《PROFILE》
光原伸(みつはら・しん) ◎1月31日生まれ、広島県出身。代表作は『アウターゾーン』。新作『アウターゾーン リ:ビジテッド』(ホーム社)は休載中。
浅美裕子(あさみ・ゆうこ) ◎12月22日生まれ、埼玉県出身。代表作に『WILD HALF』『Romancers』『天より高く!』など。趣味はテニス、野球などスポーツ観戦、映画鑑賞。2019年2月に脳梗塞を経験するが麻痺なども残らず回復。『猫またハイロ』や『ホラー作家に愛され過ぎて眠れない』の執筆も。
◎『猫またハイロ』
◎『ホラー作家に愛され過ぎて眠れない』
◎公式サイト http://karen.saiin.net/~whsalsa/index.html
◎公式Twitter https://twitter.com/yukoasami1