夫婦で助け合うことも

 結婚から22年──。現在も『WILD HALF』連載後に購入した土地と家に暮らす二人。1日のうち一緒に過ごすのは食事と散歩の時くらいだとか。そして2匹の猫を大切にしている。妻のほうは現在も執筆を盛んにしており、Webでも発信するなど積極的に活動中。

──作業する際に1人で集中したいみたいな気持ちはないんですか?

浅美家はお互い2つずつ部屋を持っていて、気配は感じるけど離れているので特にそういうのはないです

──クリエイター同士じゃないですか? お互いの姿勢を見て刺激を受けますか?

光原「(同人向けに新しい作品を)どんどん描けるのはうらやましいなと思います。自分もそういうふうになれればいいなとは思いますけどね

──奥さまのほうはSNSとかも積極的ですしね。

光原「ええ。僕は仕事が依頼されないと、義務にならないと描けないから」

──こういう仕事がきたけどどう思うかとか、描き方の相談とかはしないんですか?

光原「一応ネーム(下描き)を見せたことはあるかな。だいたい自信がない時に、ちょっと精神的に弱っている時には見せることはありましたね

浅美そうなんだよね。またそういう時に私がね、大丈夫だよ、これおもしろいよって言ってあげられるならいいけど、ここをこうしたほうがいいんじゃないとか言っちゃうから、あんまりよくない(笑)。ちなみに私のは見てくれないですね

 基本は別の空間だとしても、夫婦で助け合うこともあったとか。

浅美旦那が『アウターゾーン リ:ビジテッド』という連載を2011年からやっていた時は、私がアシスタントを。2話目までは1人で描いていたんだけど、だんだん間に合わなくなってきて、私に手伝ってほしいと言い出して」

──普通のアシスタントさんより言いやすいですか? それとも逆に気を使います? 

光原「言いやすいかな。でもあんまり注文つけないので、僕は」

──『アウターゾーン』は2020年5月の舞台化の予定が新型コロナウイルスの影響で延期になってしまいましたね。このコロナ禍はどう過ごされましたか?

浅美「自分はこのあいだリリースになったBLの原稿をずっと描いてました」

光原先生の休載の理由

──光原先生は執筆をお休みされていますが、体調は?

光原僕が今、仕事を休んでいるのは、一時期ね、何年か前に五十肩になって、それも両肩やられてシャツも着れなくなって。休んでる間に描けなくなったっていうか、1回休んじゃうと、なかなか次にまたエンジンをかけるのがつらいんですね

浅美私は元気いっぱい。親の介護が始まっちゃって、そっちのほうが大変でした

──今後やりたいことはありますか?

光原連載を今、休止しているから、とりあえず早めに再開したいなと。あとね、僕の漫画の特徴って、だいたい詰め込んでるから、短いページ数に。詰め込まないと読んでもらえないんじゃないかっていう、強迫観念みたいなのがあって。1回でいいからその逆で、大ゴマとかをたくさん使って10ページとか何ページ読んでも話が進んでいないような、のんびりした漫画を、死ぬまでに描いてみたいな。それで原稿料をもらえたらいいなって(笑)」

──最後に、夫婦円満の秘訣(ひけつ)だけ、いただいていいですか?

浅美私が大噴火してる時は、この人おとなしいんですよ。亀のようにこうして(首をすくめて)。多分それじゃないですかね

 まるで夫婦漫才? 『WILD HALF』以上のベストマッチなお二人でしたとさ。

(取材・文/相良洋一)

《PROFILE》
光原伸(みつはら・しん) ◎1月31日生まれ、広島県出身。代表作は『アウターゾーン』。新作『アウターゾーン リ:ビジテッド』(ホーム社)は休載中。

浅美裕子(あさみ・ゆうこ) ◎12月22日生まれ、埼玉県出身。代表作に『WILD HALF』『Romancers』『天より高く!』など。趣味はテニス、野球などスポーツ観戦、映画鑑賞。2019年2月に脳梗塞を経験するが麻痺なども残らず回復。『猫またハイロ』や『ホラー作家に愛され過ぎて眠れない』の執筆も。
『猫またハイロ』
『ホラー作家に愛され過ぎて眠れない』
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