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社会

「完璧を目指さず肩の力を抜いて……」介護に仕事に子育て、すべてと向き合った岸田雪子さんが選んだ“未来”

SNSでの感想
岸田さんは「親が気持ちに余裕を持ててこそ、子どもも幸せになれるはず」と繰り返した 撮影:廣瀬靖士
目次
  • 子どもに対してイライラしたら“ラップ調”が効く!?
  • 両親と子どもを置いて仕事に行くことへの葛藤があった
  • ダブルケアの時間を持ちつつ、現場で取材したい

 いじめ問題など教育や子育て課題の取材を20年以上にわたって続け、新著『スウェーデンに学ぶ幸せな子育て 子どもの考える力を伸ばす聴き方・伝え方』を出版したばかりの日本テレビ元キャスターでジャーナリストの岸田雪子さん。自身が直面した、子育てと介護を同時に担う「ダブルケア」と仕事の両立、思春期を迎えたひとり息子との日々を語ってくれた。

(※岸田さんが考えるいじめ・子育て課題の解決策に迫ったインタビュー#1も公開中:【岸田雪子さん、20年以上いじめ・子育て課題の取材を続けて見いだした「日本にいちばん足りないものは親支援」】

◇   ◇   ◇

 世の中には「いい子に育つかどうかは親次第」といった、親にプレッシャーをかける情報が少なくないなと感じています。「いい親にならなきゃいけない」と自分に高いハードルを課すと、苦しくなってしまうこともありますね。仏様じゃないのですから、いつでもニコニコ、機嫌よくなんて、なかなか難しいことです。ただでさえ日本の親は忙しく、サポートしてくれる居場所も十分とは言えません。ですから、「完璧ないい親」を目指すよりも、少し肩の力を抜いて「いい親子関係を築く」ことのお役に立てれば、との思いを込めて、新しい書籍を執筆しました

子どもに対してイライラしたら“ラップ調”が効く!?

 わが子のなかに自分と似ているところを見つけて、やっぱり親子だな、と思うことってありますよね。子どもに対して「分身」のような思いを抱くこともあるかもしれません。でも実は、子どもは親と異なる「気質(きしつ)」も持っている、ひとりの人なのですね。拙書では、この「親子の気質を知ること」の大切さについても詳しく触れています。

 例えば「活動的な気質の子」を育てるのが「活動的でない気質の親」なら、「どうしてこの子は動き回るんだろう」と困ってしまいやすいでしょう。それが親子の「気質」に関係していると知ることができれば、衝突せずに、少し心に余裕を持って子どもと向き合えるのではないかと思います。子どものことも、ひとりの人間として尊重しつつ接したほうが、客観的になれて意外と心が楽になることもあると思います。

 かくいう私も、子育てはまだまだ修業中です。子どもに対して腹が立つこともあります。宿題もせずにゲームしたり、大事なプリントを出さなかったり……。拙書では、そんなときに自分の怒りをコントロールする方法もご紹介していますが、そのなかには、

「Yo-yo! プリント出し忘れてるyo!」

「宿題終わっているのかyo!」

 と、あえて会話をラップ風にしてみることもあります。面白くもなく、かっこよくもなくていい、ということにしています(笑)。怒りと笑いは、同時には存在できない感情です。怒りを抑えるひとつのテクニックとして覚えておくだけでも、少し気持ちが楽になれるのかなと思うんです。

ちょっと照れながらも、ラップの実演をしてくださいました 撮影:廣瀬靖士

両親と子どもを置いて仕事に行くことへの葛藤があった

 子育ての壁にぶつかったことも何度もあります。まだ子どもが5歳のころ、私の父が、がんを患いました。介護のために、同じマンションの別の部屋に両親が住むこととなり、子育てと親の介護を同時に担う「ダブルケア」が始まりました。

 ちょうどそのころは、日本テレビでキャスターをしたのですが、夜10時から生放送の報道討論番組『深層NEWS』(BS日テレ)のMCを担当してくれと言っていただき、正直、悩みました。夜間、病気の父と、足が不自由な母、幼い息子の3人だけで過ごすことになる……と葛藤がありました。

 そんな時に支えてくれたのが、やっぱり家族だったんですね。両親も息子も「お仕事がんばって」と送り出してくれて。息子は「大丈夫だよ、ぼくにまかせて」と励ましてくれました。夫やヘルパーさんにずいぶん助けていただき、なんとかやりくりできたのですが、コロナ禍でテレワークが当たり前になったいま、「あのころ、夜の会議がリモートでできていたら助かっただろうな」と思い返すこともあります。

 仕事とダブルケアを続けるなか、父が肺炎になってすぐに、息子と夫が次々とインフルエンザに感染したこともありました。家族みんなが倒れても、自分の身体はひとつしかない。目の前には生放送が待っている。なにを優先すべきか、選択を迫られる試行錯誤の毎日でした。全員が回復したあとも、家族それぞれが、父のためにできることを探して関わろうとしてくれました。

 父はその後、亡くなりましたが、最後まで本人の希望どおり自宅でケアをし、家族みんなで見送ることができました。できる限りのことはすべてやったという思いを、家族の誰もが持ったのではないかと思います。

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