「コイツ、面白いな……」相方の発想に拍手
そのあとは北野異人館を観光した。お目当てだった幽霊が出るとウワサの館は、改装中で入れなかった。かろうじて窓は見えたので、幽霊がチラ見えしないだろうかと、真っ昼間の空のもと2人で凝視していた。えもちゃんは「幽霊のグリーティングタイムを設定しておいてほしい」と独自の論を述べていた。
彼女の発する言葉のつくりや発想が面白くて、私はとても好きだ。共感できると同時に、「こんなこと私には思いつかないな」と感心する。
このあと、神戸牛のステーキを食べたときには、食後のアイスコーヒーをストローを使わず直飲みする私に「口がやんちゃになってるんだね」と言う。チョコレートミュージアムでは、展示してあるいい香りのカカオ豆の山を「甲子園の土みたいに瓶に詰めて持って帰りてえ」と言う。おみやげを買うために大丸を探してさまよっているときには「もはや街全体が大丸に飲み込まれているのではないか」と推察する。
私は恥ずかしながら自分のことを面白いと思っているのだが、その私でも「コイツ、面白いな……」とよく感じる。カメラを回しておいて、面白い会話をYouTubeにアップすればよかったな。
エンディング〜妖艶な女性の香りに包まれて〜
事前に別々でとっておいた電車の時間が迫ってきていたので、一緒に夕飯も食べず、16時には解散した。私は夜まで遊んで疲れ切って、23時とかに家に帰って次の日のことを思って絶望するのが嫌いなので、こうしてあっさりと解散できるのは本当にありがたい。もちろん、決して一緒に遊んでいるのがつまらなかったわけではない。むしろ、すごく楽しくて、「ずっとこんな日が続けばいいな」と思った。なんだか幸せな気持ちだったので、帰りに寄った名古屋駅では、ずっとほしかった2万5000円の香水をエイヤと買ってしまった。
余談だが、私は香水が大好きだ。自分がなれる見た目には限界があるが、香りには限界がない。好きな香りをまとえば、短時間でもその香りになれるところが好き。特に、いい香水は、ただ単純に〇〇の香りというだけでなく、場所も、空気も、それをつける人間までも想像させてくれるから好き。その日に私が買ったレバンゲルボワの『エクレティック』という商品は、パリのナイトクラブで赤い口紅をつけて毛皮のジャケットを羽織った、妖艶な女性の香りがする。私はただの小太りのうつ病女だが、こうして楽しいことを少しずつ積み重ねて、いつかこの香りが似合うくらい強い女になりたいなと思った。
(文/「学歴の暴力」えもりえも・なつぴなつ)
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