CDデビュー前から、すでに主演ドラマとタイアップ曲を担当
1997年は、同年7月発売の「硝子の少年」と11月発売の「愛されるより 愛したい」が2トップとなっている。デビュー曲は、作詩の松本隆にも、作曲の山下達郎にも、「単なるオリコン1位ではなく、ミリオンセラーとなる作品を」という依頼があった。それを受け、まず作られたのが、のちにアルバムに収録される「Kissからはじまるミステリー」と、3枚目シングルとして発売されることになる「ジェットコースター・ロマンス」。この2作を経て、“3度目の正直”としてデビュー曲に採用された楽曲が「硝子の少年」だ。
無理な注文をするジャニー喜多川もすごいが、少年の繊細な心を「硝子」と喩(たと)えてメランコリックな情感を際立たせた松本隆も、2人の声質を「濡れている」と評価し、デビュー曲ながらあえて「40才になっても歌えることを想定した」マイナー調のポップスに仕立てた山下達郎も、やはりただ者ではなかった。その結果、累計売上180万枚という、数字にも見劣りしない極上のポッ
デビューアルバム『A album』からは、KinKi Kids名義で4曲がカラオケでも配信されている。うち人気の「FRIENDS」と、前述の「Kissからはじまるミステリー」はそれぞれ、2人が主演のドラマ『若葉のころ』主題歌と、剛主演のドラマ『金田一少年の事件簿 第2シーズン』の主題歌。
いずれも'96年に放送されたが、CDデビュー前にしてすでに主演ドラマとそのタイアップ曲を担当していたことにも驚くし、デビュー曲として予定されていた「Kissから~」が作られてから、実際のデビューまで丸々1年延期されたというのも、プロジェクトの大きさを物語っている。
1998年には、前年末発売のシングル「愛されるより 愛したい」が1位に。2人が主演するドラマ『ぼくらの勇気 未満都市(みまんシティ)』の主題歌で、サビの「真剣(マジ)で」を声を裏返して強調するなど、シングル2作目にしてすでに大衆のハートをわしづかみにするテクニックに驚かされる。なお、シングル2作目でも当初は、作詩:売野雅勇、作曲:坂本龍一による「イノセント・ウォーズ」が予定されていたものの急遽、差し変わったというエピソードを持つ(その経緯については、2021年8月に公開した売野雅勇のインタビューに詳しい。記事:近藤真彦は「いそうでいない男」作詞家・売野雅勇がシビれた“マッチ像”とは)。
同じく'98年発売『B album』からは「スッピンGirl」が最上位の8位に。2人がレギュラー出演するバラエティー番組『Gyu!と抱きしめたい』のエンディングテーマ曲だが、作詩:戸沢暢美 、作曲:飯田建彦と、少年隊やSMAPで実績のあった作家を起用することで、近年の彼らにはありえないほどのメチャクチャ明るい楽曲となっている。