『ボキャブラ天国』で若手お笑いのよさに気づく
──でも、クラスの女子からいじめられなくてよかったなぁって思います。
「いじめとかはなかったですし、中学生のときに“ボキャブラブーム”(※)が来たんですよ。それで、お笑いを見てなかった女子たちが、急にみんな若手芸人のファンになったんです。私的には、“ようやくお笑いのよさをわかってくれたか”って(笑)」
(※ 1992年〜1999年までフジテレビ系列で断続的に放送されていたお笑いバラエティ番組シリーズ『ボキャブラ天国』が大人気に。シリーズの途中から、若手芸人がネタ見せを行うコーナーが追加された)
──“こっち側”に来たんですね。『ボキャブラ天国』って、そんなにすごかったのか……。
「いや、すごかったですよ。最近でいうと『第七世代ブーム』が来ましたけど、比べものにならないくらいでした。私も大好きでしたね」
──『ボキャブラ天国』のどこに魅力を感じたんですか?
「ウケた場面だけじゃなく、スベッた姿も放映されるんですよ。つまらなかったら、本当にスタジオがシーンってなって、タモリさんやヒロミさんが苦笑いする。それを一切カットしないんです」
──うわぁ、シビアですね。
「そうなんですよ。このときに初めて『スベる』という感覚を知りました。『スベった顔』の芸人さんを見るのも初めてだったし、自分でも、“うん。確かにこれは面白くないな”という感じが分かるというか。
そのうえランキング形式だったので、勝った・負けたがありました。若手芸人さんが一喜一憂している姿に“青春”を感じたんですよね。負けた芸人さんとかは応援したくなるし、そこからはい上がる姿にストーリーがありました。
それまでは、すでに売れている大御所しか観ていなかったんですが、ボキャブラで初めて『若手ならではのリアルさ』に惹かれたと思います」
──なるほど。「若手芸人のリアルな姿」という意味でいうと、今のお笑いライブにも通じますね。そう考えると“リアリティ”も、児島さんにとって大きなキーワードなんですね。
「そうですね~。当時からリアリティのある作品のほうが好きでしたね。流行(はや)ってたドラマも見てはいたんですけど、“キムタク主演!”みたいな華やかなドラマは感情移入ができなかった。それより『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)を観て、“あ~、こういうおばちゃんいるよな~”みたいな。そっちのほうが好きでしたね」
──今でいうと中高生に「恋愛リアリティショー」がウケてる、みたいな感覚というか。当時から近い感覚があったんですね。それから高校に上がるわけですが、中学時代との変化はありましたか?
「まず、“もっとお笑い界を知りたい”と。それでラジオを聴いて、『私が好きな芸人さんに影響を与えた先輩』を調べるようになりました。いろんな芸人さんのルーツをどんどん深掘りしていたと思います。思春期は本当にお笑いのことしか考えてなかった(笑)」