フムフムな発見11:日焼け予防の継続が、将来の“美肌”につながる

──時代をさかのぼれば、日本には小麦色の肌が健康的で美しいと思われていた時代があったように思います。ハワイ出身のアグネス・ラムさんが大人気になったり(75年)、故夏目雅子さんもブレイクしたのが「クッキーフェイス」のCM(77年)で、こんがり焼けていました。若い人は知らないかもしれませんが、クラリオンガールは夏の風物詩と言ってもいくらいで、80年代に入ってからも、中山美穂さんや早見優さんなどのアイドルは日に焼けていました。いつ頃から“美肌”や“美白”が意識されるようになったのでしょう。

日本はもともと“美白”や“色白”に対する意識が強かったように思います。文化史的な側面は専門外なので詳しくないのですが、調べてみると、かわら版か何かの読本で、1813年には『美白の方法』という記事が書かれていました

──200年以上も前ですね。そんなに前から“美白”という言葉があったんですか。

「はい。江戸時代にはもう感心はあったみたいです。それに、日本には昔から“色の白いは七難隠す(色白な女性なら多少の欠点があっても美しく見える)”という諺(ことわざ)もあるくらいですから。

 ただ、最近になって、日焼けに関する意識が大きく変わったトピックが2つあるんです。

 1つが“母子手帳”で、1999年に発行された母子手帳から“日光浴”という言葉が消されているんです。それまでは、妊娠期間中はできるだけ日光浴をしましょうというような記載があったのが、なくなりました。

 もう1つが、2003年に環境省が『紫外線保健指導マニュアル』というガイドラインを出していることです。その後、何度か改訂されていますが、このガイドラインでは紫外線の説明や肌への影響、海外で行われている紫外線対策などが紹介されています。

 1990年代にオゾン層の破壊が報告されると、それに伴う紫外線の脅威と皮膚がんの増加が問題視されました。世界的な規模で環境保全が叫ばれたのですが、そういった経緯もあったので母子手帳やガイドラインが策定されたのだろうと思います。

──今回のお話で、紫外線には十分注意しなければならないことがわかりましたが、日光浴もよくないんですね。

「いえ、紫外線にはビタミンD(強い骨や免疫力を高めるために必要な栄養素)を生成する働きがあるので、日光浴自体は必要なんですよ。ただ、過度に紫外線を浴びるのがいけないんです。季節や地域にもよりますが、夏なら30分、冬なら1時間くらいは日に当たったほうがいいというリポートもあります」

──運動やダイエットと同じということですね?

「はい。むちゃなダイエットは体調不良の原因になるのと同じように、紫外線を完全にシャットアウトすると、ビタミンD欠乏症を引き起こす可能性もあります。

 近年、紫外線量が増えているというデータも散見されます。いま20代、30代の若い方は肌にハリや潤いもあって大丈夫と思っておられるかもしれませんが、紫外線対策を怠ったせいで50代、60代になったとき、本来あるはずの潤いやハリを失い、シミやシワができるのはとても残念なことです。

 紫外線による肌ダメージは長いスパンで見ないとわからないこともあるので、将来に備える意味でも、若いときからの紫外線対策、UVケアをご提案させていただいております」

──紫外線はシワやシミの原因になったり、場合によっては皮膚がんの原因にもなります。だから予防が必要になります。つまり、UVケアを続けるということは、“美肌”や“美白”にたどり着くということであるわけですね。

「そうですね。紫外線による肌のダメージを防ぐのは、シミや皮膚がんを防ぐだけでなく、いつまでも潤いがあって、美しい肌を保つためとセットになっていると言ってもいいのかもしれません

(取材・文/志谷恭作)