『ハリー・ポッターと呪いの子』は体力勝負、見どころはキャラクターの“4変化”
現在、出演中の舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』は、 J.K.ローリングによるベストセラーのファンタジー小説『ハリー・ポッター』の「8番目の物語」にあたるシリーズです。オーディションのお話をいただいて、「話題の舞台に参加できるチャンスがあれば」と受けることにしました。私が演じるのは主要キャストのひとりであるハーマイオニー・グレンジャーで、映画のシリーズでは、エマ・ワトソンが演じていた役です。ホグワーツ魔法魔術学校のグリフィンドール寮に所属し、親友のハリー・ポッター、ロン・ウィーズリーといつも3人で行動しながら、さまざまな問題を解決していきます。
コロナ禍でしたので、一次、二次は映像での審査でした。そのあと、イギリスから来日したオリジナルの舞台スタッフの前で、演技とムーブメント審査、さらには体力審査まであり、厳しいオーディションでしたね。でも、ダメもとで「私が考えたハーマイオニー・グレンジャーはこうなんです!」と、思い切りチャレンジさせていただきました。受かるかどうかの不安より、「やったるでー」という気持ちのほうが大きかったんです。
まさにハリー・ポッターの世界に入り込んだような舞台で、本棚に吸い込まれたり、魔法を使って変身したりなど、演じていてこんなに楽しい作品はないほどです。次から次へと魔法が繰り出されますので、身体を使う仕掛けが多く、体力勝負でもあります。ですから稽古では、毎朝必ず1時間、全体で筋トレやウォームアップをする習慣までありました。でも、これは私にとっては得意分野。宝塚時代から、お芝居で煮詰まった翌日にショーの振りつけで動くと心身がリフレッシュされて、スッキリとした頭でお芝居を見つめ直すことができました。私にとっては、身体を動かすことがプラスに作用するんです。
1か月もの舞台稽古があり、役作りもじっくり考えながらしていったのですが、初日が開けてしばらくたった今では、自分のお芝居がかなり変化しています。自分の感情はもうベースとして蓄積されているので、相手の気持ちを引き出すためには、いかにその感情を使えばいいかと考え、その手法を相手によって変えられるようになりました。
1年以上のロングラン公演で、しかもダブルキャスト、トリプルキャストと日によって共演者が変わるから、自分を固定させてしまうと、スケールが小さくなってしまうんですよね。柔軟さが必要不可欠です。目の前にいる相手がどう出てくるか、自分はそこで一歩踏み出すのか、引くのか。そういうやりとりが、自然にできるようになってきました。ロンと私の役はガッツリ芝居をするというより、場面を説明するようなアシスト的な役回りですが、だからこそ見せ場をしっかり印象づけたい、というモチベーションのもと演じています。
時空を超えて、過去と現在が交錯するなか、現実の世界では、自分の心情よりも物語を運んでいくことに専念し、別次元では、ロンとしっかり向き合い、本心を語っています。そんななか、ハーマイオニーのキャラクターは4種類に変化していきます。その演じ分けが、最大の見どころです。ぜひ、劇場でその変身術を堪能していただけたらうれしいです。
宝塚時代から、常に葛藤を抱えながらも、確実に成長を重ね続けてらっしゃる早霧さん。今後のご活躍がますます楽しみです。早霧さんがバトンを渡すのは、元月組トップスターの珠城りょうさんです!
【取材・文/Miki D'Angelo Yamashita、ヘアメイク/飯嶋恵太(mod’shair)、スタイリスト/田中雅美】
《出演情報》
舞台『ハリー・ポッターと呪いの子』
【公演概要】
2022年7月8日〜2023年5月31日 東京都TBS赤坂ACTシアターにて
※2023年6月以降も上演予定
【スタッフ】
オリジナルストーリー: J.K.ローリング/脚本・オリジナルストーリー:ジャック・ソーン/演出・オリジナルストーリー:ジョン・ティファニー ほか
【キャスト】
ハリー・ポッター :藤原竜也、石丸幹二、向井 理/ハーマイオニー・グレンジャー:中別府 葵、早霧せいな/ロン・ウィーズリー:エハラマサヒロ、竪山隼太 ほか
【チケット】
2023年5月公演分まで、ホリプロステージまたはTBSチケットにて好評販売中
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