2人の娘とは「ベストフレンド」な関係
歌手として歩む一方で、新しい分野での活躍も。そして1996年に29歳で結婚。その後は子育てが始まる。仕事を続けることに違和感はなかったものの、実際には苦労も多かったのでは。家庭との両立、そして成長したお嬢さんたちとの関係について聞いてみた。
「子どもができて仕事は辞めなきゃいけないのかなと思っていました。当時は生活情報番組『はなまるマーケット』(TBS系)のレギュラーでしたが、出産のため2か月間の休みに入るときにプロデューサーから “また戻ってきてね” と言われて、ああ、帰ってきてもいいんだって。
女性の社会進出が強調される時代背景があって、次第に仕事と子育てが両立できる環境になっていったんです。私たちより一世代前のアイドルの方たちは、結婚イコール引退でしたが、私たちは仕事を続けながら子育てもできるという風潮に変わってきて。
──お嬢さんたちが小さいころ、仕事を抱えながら何か困ってしまったエピソードはありますか。
「ベビーシッターにお願いする日もあって、自分の中では葛藤がありましたよ。やっぱり一緒にずっといるのが母親なのかなって。でも私自身が仕事を持っている祖母と母に育てられたので、子育てをしながら仕事を持っているのは当たり前というか違和感がなくて。
娘たちが3歳ぐらいのころ、“なんでママは仕事に行くの。友達はママとずっといるのに”と言われたことがありました。でも“ママは仕事をしたいのよ。自分に合った仕事を見つけると仕事がしたいって思うの。あなたも大きくなったらわかると思うよ”という話をして仕事に出かけたんです。その日、家に帰ってきて“ママ、今日はお疲れさま”って言われて感動したことは今でも忘れられませんね」
──子育てに影響を受けた人を挙げるとするなら?
「自分の口から出てくる言葉が、教育に厳しかった私の祖母にそっくりで。私に祖母が降りてきてるんじゃないかってくらい(笑)。後々、娘たちからは“ママはスパルタで厳しいよね。でも時間がたつと納得できる”って言われました。
例えば門限。破るのが悪いのではなく、ウソが嫌なので破ってほしくないんですよね。門限10時なら、“なぜ10時を超えるのかを話し合おうよ”という具合に子どもたちときちんと向き合って話すとか。“家族のルール“ をみんなで考えてきたのかな。それでコミュニケーションがうまくいっているのだと思います」
──大学生になったお嬢さんたちからのアドバイスで、早見さんがYouTubeを始めたそうですね。
「コロナ禍で仕事が延期や中止になって、何もしない毎日が始まったんです。松本伊代ちゃんと一緒のイベントも延期になってしまい、連絡したら彼女も元気がなくてふたりでため息ついて。“何してるー?” “毎日ごはん作ってるー” “わたしもー” “はぁー”。
それを見ていた娘が “ママは料理が好きだし、動画で撮ってYouTubeでアップしたら? 私が編集を手伝うから“って言ってくれたんです。ちょうど緊急事態宣言のころですね。
zoomの使い方や、撮影してYouTubeへアップする方法を教えてもらい、伊代ちゃんに報告したら“楽しそう!”って。それで伊代ちゃんと週1回、zoomでお料理をするようになったんです。今は自分で大まかな編集をした後、YouTubeの制作チームにお願いして週に3回アップしています」
──何かと早見さんに協力的なお嬢さんたちとはどんな関係?
「長女が21歳、次女が19歳。2人ともアメリカに留学していますが、毎日のように連絡があるので、向こうで元気でやっている姿を見るのは楽しみですね。
どんな話をするか? 恋愛の相談もありますよ(笑)。そうですね、長女は自炊を始めたらしく、私が料理好きなのでレシピを聞かれたり……」
──まるで姉妹のようですね。それともお友達みたいな間柄でしょうか。
「今、まさにベストフレンドな感じですね。今年の夏は家に帰ってきてました。長女はお酒が飲めるから近くのイタリアンで一緒にワインを飲んだりして、すごく楽しい時間でしたね」
今回のアルバムにはお嬢さんふたりと一緒に歌った曲(『Dear Earth~Affection mix~』『make lemonade』)も収録され、デビュー40周年を記念する親子の思い出にもなった。