篠原さんの、“ここが気になる”聞いてみた!

■社名の由来は?

ちょっと後付けになりますが、透き通った水のような気持ちや心地よさが、作品を通して鈴の音のように広がっていけばいいなと。また、水鈴社は時代に即して水のように自由に形をかえていける会社であれたらと思っています。現時点で編集者は僕ひとりだけですけど、プロモーション担当やSNS担当など、業務提携してもらっているスタッフは複数人いて、文藝春秋の営業部の方々にも変わらずお世話になっています。ようやく出版社らしくなってきた気がしているところです。

■好きな書店は?

行きつけの書店というのは、これといってありません。でも、『はじめての』プロジェクトを発表時から応援してくださった書店さんには特に感謝しています。いま注目しているのは、2021年8月に福岡県八女市にオープンした『うなぎBOOKS』さん。お世話になっている本間悠(ほんまはるか)さんという名物書店員さんがいて、本間さんに会いにこの書店に行ってみたいです。

■手元にあって何度も読む本は?

やっぱりスリランカで過ごしていたころに読んだ『海辺のずかん』。幻冬舎時代に、著者である自然絵本作家の松岡達英さんに依頼をして、『昆虫の生活』という絵本を作りました。椎名誠さんに推薦文を書いていただくことができて、編集者冥利(みょうり)に尽きると思いました。

子どものころから大事にしている『海辺のずかん』の著書・松岡達英さんと、時を経てこの絵本を作った。『昆虫の生活』(幻冬舎) 撮影/廣瀬靖士
・株式会社水鈴社:https://www.suirinsha.co.jp/
・「はじめての」プロジェクト特設サイト:https://www.yoasobi-music.jp/hajimeteno/

(取材・文/吉川明子、編集/本間美帆)


【PROFILE】 篠原一朗(しのはら・いちろう) 1978年、東京都生まれ。小学校時代をスリランカで過ごす。25歳の時にアルバイトで幻冬舎に入り、『ランナー』(あさのあつこ)、『黒の狩人』(大沢在昌)、『新13歳のハローワーク』(村上龍)、『希望の地図』(重松清)などを担当し、雑誌『papyrus(パピルス)』の編集長も務める。2014年から文藝春秋に移籍し、『ラリルレ論』(野田洋次郎)、『羊と鋼の森』(宮下奈都)、『祐介』(尾崎世界観)、『ふたご』(藤崎彩織)、『そして、バトンは渡された』(瀬尾まいこ)などを担当。2020年7月に水鈴社を設立し、『夜明けのすべて』(瀬尾まいこ)、『Mr.Children 道標の歌』(小貫信昭)、『ねじねじ録』(藤崎彩織)などを出版。編集以外では、魚を釣ることと飼うこと、植物を育てることが得意。

Twitter→@SUIRINSHA、Instagram→@suirinsha