小山内氏が考える「警護計画」とは?

──もし小山内さんが警護を指揮するとしたら、どのような警護計画を立てていましたか。

 普通は警護するときには、大きく4つのステージを踏みます。僕らがステージ1と呼ぶのは「情報収集」の段階。最初に警護に必要なありとあらゆる情報を集めます。

 例えば、警護対象者がどういう人か、どういう場所に行くのか、いつ行くのかなどの情報を集めます。さらに実際そこにはどういう人たちが集まってくるのかというようなことなどを、徹底的に情報収集します。

 この情報収集に1か月から2か月かけることもあります。その集めた情報を細かく分析をしていって、実際どういう危険が起こりうるのかというシミュレーションをして、あらゆる危険の可能性を洗い出して、危険が起こりうる可能性をひとつひとつ吟味していく「脅威評価」を行っています。この脅威評価に基づいて警護の計画を立てるのです。

 例えば、雨が降っている日、警護対象者が歩いて移動するとします。そして、対象者が歩いていく途中には、大理石の床があります。このような環境を事前に知っているからこそ、そこで「滑って転ぶ」という危険の可能性が想定できるわけです。

 僕らはその場所に対象者がさしかかった時に、転ぶ可能性があるから、そこを歩かないように誘導するとか、どうしてもそこを歩かなくてはいけない時も、通常よりも僕らが対象者に近づいておいて、転倒しそうになったら、ぱっと抱えられる心と身体、そして距離感を準備しておきます。それが「警護を計画する」ということなんです。

「気づきを大事にしてください」 撮影/矢島泰輔

 つまり情報があって脅威の分析をし、それを根拠にどう警護するかということをシミュレーションして計画を立てるのです。情報収集、脅威評価、警護計画、警護の実行という4つを、順を追ってやっていかなくてはいけないのです。

 まず、その警護をする場所に対して、どこまでをその警護エリアとするかという境界線をまず明確にします。その上で、例えばこの境界線に入ってくる人間に対して、どういうチェックをするのか。この中で何か起こった時、外に出るためにどういう風に逃げることができるか。そういうルートを常にイメージし計画に盛り込む必要があります。