他人に受け入れられなくても、それを攻撃の理由にしない

──「おわりに」で触れている「アロハ・スピリット」について、鈴木さんご自身が生き方のヒントになったことがあれば教えてください。

 “アロハ・スピリット”はもともとハワイアンの相手を尊重する心の持ちようですが、ハワイが積み重ねてきた歴史の中で懐の深さとして育まれたものです。“アロハ”は単なる挨拶というイメージを持っている方が多いと思いますが、実際はいろいろな意味があって、私は下巻の最後に“その相手を知って尊重して受け入れて分かち合う。その態度と結びついた愛の言葉である”というふうに書きました。この本で一番伝えたいことは、まさにそこなんです。

 人と人が違うのは当たり前なので、“私とあなたは違うんだから知りません。どうぞご勝手に”ではなく、相手が今どんなことを感じて、どんなことで苦しんで、何を求めているのかを知ったうえで、それぞれの存在が尊重される社会にもっとなってほしいという思いが、より強くなりました。

──私も本作を読んで「アロハ」という言葉の意味を知ったので、今まで適当に「アロハ~!」と言っていたことを反省しました……。

 私もそうでしたよ。 “ハワイは毎日が日曜~♪”と思っていたら、実はそれはホノルルのワイキキという一部分だけのことで、大自然や文化、歴史など、ハワイの奥深いものを知らない方が多いからこそ、この本を読むと “ハワイって奥深いんだ”と、驚いていただけるんじゃないかなと思います。