ソワレが“隠れた神曲たち”を熱弁、今後の海外進出次第ではランクアップも!?
このように、アルバム曲はシングルほど目立ってはいないが、人気が出始めている様子は見られる。さらに、ソワレ自身が“もっと上位だったらいいのに!”と思う曲についても尋ねてみた。
ソ「79位の『別世界』は、夏らしい曲なんですが、音の作り方がデッドな感じ(反響成分が少ないこと)であるうえに、奈保子さんの音域がギリギリの高さで、それらの組み合わせがとても心地よいんですね。それと、90位の『マーマレイド・イヴニング』は、もっと伸びてほしいです。作曲の小田裕一郎さんが、奈保子さんのエレガントな要素を引き出しているし、ラストのスキャット(意味のない音をメロディーに合わせて即興的に歌うこと)も本当に美しい。このランキング表に入っていないけれど、アルバム『Calling You』にもいい曲がいっぱい……って、え、未配信なの!? どうして??」
衛「その後に発売された『ブックエンド』や『engagement』は解禁されているから、アナログ時代限定というわけではないよね……確認して、サブスクも進めてもらいますね」
ソ「『Calling You』の中では、『あなたへ急ぐ』や『ダンシング・グッバイ』が大好き! アレンジはシンプルなんですが、大人のカッコいい奈保子さんを聴いてください。未配信だったら、僕が『Calling You』のカバー音源を上げちゃおうかな(笑)」
なお、タワーレコード限定の紙ジャケットCDや、ダウンロードでの配信は発売されているので、ストリーミングの解禁まではそちらを楽しんでいただきたい。
ソ「アルバム『9 1/2 NINE HALF』の中では『トワイライト・クルーズ』も大好きなんですが、116位!? 僕自身は海外録音の前作『Daydream Coast』よりもこのアルバムが好きだなぁ。これは、ドライブソングなんですが、奈保子さんの歌っている感じが楽しそうに聞こえます。ちなみに、このアルバム、LPとCDとでミックスがまったく異なるんですよ。LPのほうは音数が少なくて、例えば、この中でのいちばんの人気曲『星になるまで』はサックス音が大量に削られている。『何も言わないで』や『白い影』もかなり違っていてビックリしました」
また、ソワレは自身のライブでもカバーする楽曲が多い'90年のアルバム『ブックエンド』にも思い入れが強いようだ。当時ヒットした作品にも、そうでない作品にも等しく愛情を注いでいるのは、さすがの“奈保子博士”と言えるだろう。
ソ「『ブックエンド』のオリジナルは1曲もSpotifyのTOP100に入っていないんですね……。でも、『朝への誓い』は、ラストのコードでおしゃれに転調していて、奈保子さんの作曲の幅が広がっていてうれしかったですね。でも、こうやってみると、いろんな曲があって面白いですね」
ちなみに現時点で、河合奈保子全体でのSpotifyにおける海外リスナーは1割をかなり下回っている。今後、シティポップ・ブームがより本格化したり、「けんかをやめて」が劇中曲に採用された大ヒット映画『すずめの戸締まり』の海外上映が始まったりすれば、まだまだ伸びる余地はありそうだ。