男性客からセクハラまがいの行為は「1000回以上」、上手な対処策は?

──少し前に、有名俳優による高級クラブでのセクハラ行為が話題となりましたが、晴天さんもセクハラに遭ったりされましたか?

「あります、あります! セクハラ系でいちばんよくあるのは、イスに座ろうとしたら、お尻に触れようとお客さんの手が置かれてるパターン。たぶん、1000回くらいありましたね。最初は男性の手をどかしていましたけれど、最後は“もう指を折ってやる!”って思って上から座っていました(笑) 」

──たくましいですね。

あとは、胸元に源氏名が書いてある名札をつけるんですけれど、“なんて名前なの? “って確認しようとして、そのままおっぱいを触ってくるとか……。そのときは、反射的に男性の手を払ってしまいました。そうしたら男性が“うわ、今、怒ったよね〜”って、顔をしかめて、心ないひと言を言ってきた。私は普段、自分はアンガーマネジメントの達人だと思っているんですけれど(笑)、このことだけは、いまだに腹が立つくらい忘れられないですね

──キャバ嬢というと、見た目やその世界の華やかさだけ取り上げられがちですが、やはり理不尽なことも多そうですね。

「“オレ昔、ギターを弾いていたんだよね”って言って、私の脚をギターに見立てて弾こうとした男性もいましたからね。どうにかしてセクハラしたかったんだろうなと(笑)。男性のお客さんで“俺が女だったら絶対キャバクラで働くわ〜”みたいなことを言う人がいるんですけれど、そんな甘いもんじゃないよって思います」

“ギターおじさん”の珍エピソードを、身ぶり手ぶりを交えて語ってくれた晴天さん。それにしても、指が細長くてきれい! 撮影/吉岡竜紀

──セクハラに効果的な対処の仕方ってありましたか?

セクハラしてくる人って、触りたくて触りたくて仕方がない状態なので、相手の手を握ってなだめる。これで気持ちが収まる人は多いです。ただ、中には手を振り払ってでも身体に触ろうとしてくる人もいる。そうしたら、次第に私もつないだ手に力を込めるようになって、最終的に立ち上がって、プロレスの手四つ(両手をつかみ合って攻撃しようとする体勢)になったときがあったんですよ(笑)。

 それにしても、みんな外では常識的に過ごせているはずなのに、なぜキャバクラだと節操がなくなってしまう人が多いんでしょうね。ひろゆきさんが、“キャバ嬢はセクハラされても仕方がない”みたいに言っていましたが、それは違うと思う。キャバクラは基本的にお酒を飲みながら会話をして楽しむところで、お触り代は料金に含まれていないんです。セクハラやそれ以上のことをしたいのなら、風俗店に行ってくださいと思ってしまいます

──セクハラ以外にも、相手の話がつまらないときは、どのようにしていましたか?

相手の話がつまらなくても、聞いているだけだったら、ぜんぜん楽なんですよ。つらいのは、お客さんが何もしゃべらない状態。無口な人の場合は、キャバ嬢のほうがずっと話さなきゃいけない。私の場合は、自分の恋愛の話をしていましたね」

──キャバ嬢が自分の恋愛話をしてもよいのですか?

だいぶ型破りだったと思いますが、現在の恋愛相談をしてくるキャバ嬢なんて、まずいないので、興味を持ってもらえるんです。あまりしゃべってくれなかった人もアドバイスをし始めてくれたり。お客さんに本命のキャバ嬢がいて、私がヘルプでついたときも、“今日は寒いですね”って天気の話なんかをするよりは、恋愛の話をするほうが盛り上がるんです。

 あと、AKB48の『恋するフォーチューンクッキー』の全力披露は、よく頼まれることもあり、50回以上やりました(笑)」