“神客”の条件は?  “ガチ恋”の男性からは「一緒になろう」と何度も言われて

──お笑いコンビ『錦鯉』の渡辺隆さんが、芸人仲間から「キャバクラでの態度が、まるで神客のようだった」などと言われ、話題になっていました。実際に、神客はいましたか?

神客はめっちゃレアですね。ほとんどがクソ客で(笑)、ほんのひと握りだけ神客。キャバクラでいう神客は、穏やかで、“性格がいい”とか内面をほめてくれるだけじゃダメです。やっぱり商売ですから、大前提として、お金を落としてくれることが大事になってくるんですよ。例えば、通う頻度がある程度高いうえで、席にヘルプの子が来たら、その子たちにも“好きなものを頼んでいいからね“って言ってくれるとか。1杯飲むごとにキャッシュバックがあるから、お店も潤うし、キャバ嬢側ももらえる給料が高くなるんです。もちろん最低限、セクハラをしないとか、理不尽なことを言わないことも必須。これは普通のことなんですけどね

──セクハラもそうですが、好みではない男性から連絡先などを聞かれるのも嫌じゃないですか。

「正直めっちゃ面倒くさいし嫌なんですけど、キャバ嬢としては避けて通れない道でもあります。最近はLINEの本アカ(普段使っているプライベートの本アカウント)とは別に、連絡専用の『LINEビジネスID』アカウントを作って、そちらだけ教えるっていうキャバ嬢も多いみたいです。本当は、自分から積極的に連絡先を交換して営業しなければいけないんですが、私はちょっとズボラというか。聞かれたら教える程度でしたね

──連絡先を交換したお客さんが、お笑いのライブを見に来たりすることもありましたか。

「2人くらいですけれど、ありましたね。でも、そのうち1人は私のことをめちゃめちゃ好きになっちゃったんです。年上のオジサンで、親と同い年(笑)。“俺をフった女はみんな不幸になるから、君もフラないほうがいいよ”とか、“あと10キロやせたら付き合ってくれるよね”とか、“月10万円、小遣いをあげるから結婚しようね”とか言ってくるんですよ。私が出勤する日はぜんぶ店に来て、オープンからラストまでいるみたいな感じでした

──“ガチ恋”って呼ばれるものなのでしょうか。

「言ってくることがエスカレートしていって、しんどかったのですが、店側からしたら、よく来てくれるお客さんなのでつなぎ止めてほしいっていう感じでしたし、私はただでさえ指名も少ないし大事にしなければ、という葛藤もあり、“離れていってほしいけれど自分からは切れない”っていう状態でしたね。そのうち“絶対、一緒に幸せになろうね”、って何度も言われるようになってきて、相手の愛が重くて頭がおかしくなりそうでした

──その方とは、どのように終わったのですか。

「“絶対に救い出してあげるから”と毎回言われていたころ、“いや、自分で選んで働いているから私は不幸ではないし、月に10万あげるって言うけど、私もっと稼いでいるし、ぜんぜん少ないから!”ってハッキリ言ったんですよ。それでも“そんな強気なところも好き”と言われてしまって、どうしたものかと思っていたのですが……。ある日突然、“会社の人にバレたから通うのをやめます”って連絡が来たんです。周りから、“キャバ嬢はやめとけ”みたいな感じで言われたのかもしれませんね。もし単純に私に冷めただけだとしたら、最後に優しさを見せてくれてありがとう、って思います(笑)」

──俗にいう「色恋営業」だと、お客さんも通い続けるのですか。

キャバ嬢は、“ヤれそうでヤれない”、“付き合えそうで付き合えない”っていう駆け引きの時間をできるだけ長くして、うまく立ち回れるかが重要。ものすごく大変なレースなんですよ。でも、ホストは下世話な話、先に身体の関係を持ったほうがよかったりもすると聞きます。女の人の場合は、1回身体の関係を持ったら好きになる人も多いんです」

──同じ夜職と呼ばれるホストとキャバ嬢でも、やり方が違うんですね。

「でも、キャバクラに来る男性のほとんどは本当に勘違いしていて、“気が合いそうだし飲み友になろうよ”みたいに言ってくるんですよ。彼らがキャバ嬢と話が合うって思うのは、女性側がめちゃめちゃ忖度(そんたく)してしゃべっているから。誰も何も否定しない優しい世界ですよ、キャバクラは(笑)。だから、どっぷりハマりすぎて本気で好きになっちゃうと痛い目を見ますけど、ちょっと心を癒されたい男性であれば、キャバクラに行くのもいいと思いますね」

──キャバクラに行こうとする男性が、気をつけるべきことはなんでしょうか。

「これまでにお伝えしたように、最低限の礼儀をわきまえていただくことと、あと、こじらせていないこと“いくつだと思う?”って聞いてくる40〜50代はいちばん厄介です(笑)。こちらは、“え〜正直に言いますよ?”って言いながらも、絶対に若く答えなきゃいけないし、実年齢より5〜10歳くらい若く見積もっても、怒ったりする人が多くて。そういう人に限って、女性側のほうが年下でも“ババアじゃん”とか言ってきたりしますし、要注意です」

今後はプロレスやYouTube配信も頑張りつつ「一生、芸人であり続けたい」

──約10年間続けたキャバ嬢をやめた今、今後の抱負ってありますか?

「今は芸人のほかに『SUGAMOプロレス』っていう、実際のレスラーのモノマネをする選手たちが所属している団体で、興行に出場しています。私は『飯伏紅茶』(いぶしこうちゃ)というリングネームで、新日本プロレス所属の飯伏幸太選手のマネをしています。スッピンだと、見た目もちょっと似てるって言われるんですよ(笑)。実は私、『スターダム』(日本の女子プロ団体)の第11期練習生だったんです。ケガをしてデビューは断念してしまったんですけれど。だからこそ、『SUGAMOプロレス』は盛り上げていきたいです

──芸人は、今後も続けますか?

もちろん! 将来的にはプライベートももっと充実させたいですが、結婚や出産をしても、芸人を続けたいって思っているんです。ピン芸人って、自分から“私は芸人です”って主張している限りは、芸人であり続けられるはず。だから一生、芸人でいたいという気持ちがあります。

 あとは、これまでの経験や最近のハイライトなどを、ブログやYouTubeで積極的に発信していきたいです。もともと話すのが好きなので、生配信で3時間くらいずっとしゃべり続けていても苦にならないんですよ。最近は、キャバ嬢時代の印象的なエピソードを4コマ漫画にして描いているんです。当時はイライラした出来事も、笑ってもらえるような内容にしたりして。今後は、がっつりお笑いネタを披露することだけに限らず、世の中に何か面白いことを伝えていけたらいいなって思っていますね

お笑い芸人にキャバクラ、複数のバイト。さまざまな世界を経験した晴天さんが今後、どんな活躍をされるのか、とても楽しみです! 撮影/吉岡竜紀

(取材・文/池守りぜね)


【PROFILE】
本日は晴天なり ◎1983年1月11日生まれ。静岡県出身。ダンスの専門学校に入学するため上京したが、小学校からの夢であったお笑いも諦めきれず、キャバクラに勤務しながらお笑い芸人に。現在は約10年続けたキャバクラをやめ、ピン芸人としてダンス、モノマネ、一人コント、キャラ漫談、ユニット漫才など、なんでも幅広くこなす。アイドルグループの嵐とウルトラマン、ハシビロコウ、プロレスが好きで、『SUGAMOプロレス』にも所属し活動を続ける。2021年から、別の事務所に所属するピン芸人・八幡カオルとのコンビ「ヤハリィーテンナリィー」での活動にも精を出している。


【INFORMATION】
毎月第一金曜19時より
巣鴨駅徒歩2分のプロレスショップ闘道館にて「SUGAMOプロレス」開催中!
〜次回は2023.2/3(金)に開催予定〜

・オフィシャルブログ→https://ameblo.jp/seiten19-yellow/
・公式Twitter→@seiten19
・公式YouTubeチャンネル→「本日は晴天ちゃんねる」