新型コロナウイルスの感染拡大によって、リモートワークや黙食など生活様式も一変してしまいました。しかし地元で過ごす時間が増えてきたおかげで、周りを見渡してみると、これまで気づかなかった新しい発見もまだまだあるようです。そんな半径3キロで見つかる日常生活の中の幸せにスポットを当てていきます。
町中華探検隊として町中華の魅力をメディアで発信しているライターの下関マグロさんに、その魅力を聞くインタビュー第2弾。今回も引き続き、東京・西大井にある「美華飯店(みかはんてん)」の店内をお借りして、町中華のメニューに舌鼓を打ちながら、町中華の楽しみ方を教えてもらいました。
「僕は五目あんかけ焼きそばとビールの組み合わせが好きなんです。焼きそばの具材をちょっとつまみながら、ビールを飲む。『餃ビー』という言葉もあって、餃子とビールも相性がいいですよ」と下関さん。
「ちゃんぽん」ってどういう料理!? 中身は店によって違う
──お話をお聞きしていると、町中華の親しみやすさがわかってきたのですが、もし料理があまりおいしくない店に出合われたらどうしますか?
下関さん「僕の場合だと、まずい店に当たったりすると逆にすごくうれしくなったりする(笑)。20年、30年と営業しているのに、料理がいまいちだったり。じゃあなんでこんなに長く続いているんだろうって考えてみるんです。そうしたら、料理以外の魅力の部分……大将のキャラクターだったり、街の人たちのコミュニケーションの場になっていたり。そういうのがわかると楽しくなってくるんですよね」
──今回、取材協力していただいている「美華飯店」の特徴は何でしょう?
下関さん「美華飯店がほかの町中華と違うのは、この店の初代が長崎県出身なので、本場の『長崎ちゃんぽん』が食べられるところ。これは町中華ではとても珍しいことなんです。
西荻窪に『大宮飯店』(現在は閉店)という店があったのですが、大将が“ちゃんぽんって聞いたことがあるけれど、見たことも食べたこともない。でも新しいメニューを作るときに、『ちゃんぽん』っていう名前にしてみようかなと思って勝手に作った”って言うんですよね(笑)。“勝手に作っちゃうんだ~。面白いな”って思って、いろいろなちゃんぽんも食べ歩くようになったんです。実は多くの店に『ちゃんぽん』のメニューはあるんですよ」
──町中華に行くなら、ちゃんぽんを食べ比べるのも面白いのですね。
下関さん「でもどこも本場の長崎のちゃんぽんじゃない。ちゃんぽん麺ではなくラーメンの麺を使っているところがほとんどです。味は塩味が多いですね。トロトロのあんがかかっているのは共通しているけれど、具材も野菜や肉とバラバラ。あとは『うま煮そば』を『ちゃんぽん』として出している店もありましたね。僕が驚いたのはしょうゆ味のタンメンをちゃんぽんとして出していたところ。でも美華飯店は本場の長崎ちゃんぽんを出しているんです」