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グラミー賞受賞・宅見将典さんが語っていた叔父・西城秀樹さんの教えと思い出「秀樹さんが導いてくれた」

SNSでの感想
往年と変わらぬ熱量でたっぷり21曲を熱唱・熱演。宅見さんのギタープレイもさえわたる(2022年9月) 撮影/北村史成
目次
  • 『YOUNG MAN(Y.M.C.A.)』に導かれて
  • 秀樹さんの「楽屋」は今も
  • 秀樹さんにとことん鍛えてもらった!
  • 楽しい思い出しかないけれど……
  • 夢に出てくる秀樹さん

 2023年2月5日、グラミー賞の最優秀グローバル・ミュージック・アルバム賞を宅見将典さんが受賞した。’18年に亡くなった西城秀樹さんの甥にあたる宅見さんは昨年、秀樹さんの未発表曲『終わらない夜』を作曲・プロデュース。“叔父さん”との音楽制作エピソードやプライベートな交流を明かしてくれた──。

 グラミー賞受賞を記念して、貴重な宅見さんのインタビューを再掲します。(初出:2022年10月6日公開/タイトル:『西城秀樹さんは終わらない。「男のロマンがあるんだよ……」愛した場所と新曲のリリース』)

◇   ◇   ◇

 2022年10月5日、西城秀樹さんの「新曲」がリリースされた。

 タイトルは『終わらない夜』。

 誰もが認める永遠のスターの逝去から4年──。未発表のままのこっていた歌声が新たに録音されたバンドのサウンドとともによみがえり、大きな感動を呼んでいる。

 作曲とプロデュースを手がけたのは、秀樹さんのバンドのギタリストとして活躍し、実の甥(おい)でもある宅見将典さん(43)。現在は米ロサンゼルスにも拠点を置くが、9月のコンサートの前に日本で話を聞いた。秀樹さんが遺した思いとは……。

『YOUNG MAN(Y.M.C.A.)』に導かれて

「この曲を書いたのは2006年。秀樹さんのバンドでギターを弾きながら、作曲家としても活動を始めたころでした。秀樹さんが “じゃ、書いてみろよ” とチャンスをくださったんです。秀樹さんと相談して、ジャジーでファンキーなカッコいい曲にしようよ、と。

 そのときの自分はまだ27歳。つたないデモ音源なんですが、私が歌ったデモの仮歌を聴いて秀樹さんが覚えてくださった。で、バンドのメンバーはみなさんプロなので、リハーサルしたらすごくいい感じで。コンサートの1曲目でやることになりました」

──タイトルは最初から『終わらない夜』に?

「はい。決まっていました。歌詞は僕がいろいろ作詞をお願いしていた柳達基(やなぎ・たつき)さん。もともと僕の高校の英語の先生なんですが、プロとして作詞もしている方です。しかも秀樹さんの世代。それで、秀樹さんがイメージする曲の世界を僕が伝えて。

 だから、秀樹さんの監修のもとにできた曲だと思います」

──ざっくり秀樹さんからは、どういう発注があったんですか。

とにかく男の、カッコいい、夜の歌にしたいと。ジャズしかり、ブルースしかり。お酒を飲みながらバーで聴いたりする感じで。秀樹さんもバーカウンターは大好きじゃないですか。

 とにかくどれだけホールが空いていても、カウンターに座るっていう」

──そうなんですか!

「いっつもです。カウンターがあれば、ぜったいカウンターに行くんです。お好み焼き屋さんでもどこでも。食べにくいと思うんですけど(笑)。

 いちど理由を聞いてみたんです。“秀樹さん、こっちに座らないんですか?” “いいんだよ、こっちで”。なんでですか!?  って聞いたら、“男のロマンがあるんだよ”って言われました(笑)。とにかくカウンターは男のロマンだそうです」

40代の男盛りの秀樹さん。2001年3月、デビュー30周年記念コンサートにて 撮影/高梨俊浩

「なので、そういうバーカウンターで聴いてもカッコいいような世界観に。
 そのころ秀樹さんは『Same old story -男の生き様-』という曲を出されているんですけど(シングル『めぐり逢い』のカップリング)、それがホーンセクションの入ったブラスの効いた曲なんですよ。“これ、カッコいいよね〜”と言ってたのでその曲を意識しながら、テンポはもっと早くしてみました」

──『終わらない夜』はいちどコンサートで披露されたあと、レコーディングもされた。

秀樹さんも気に入ってくださって、2007年に録音しています。ただ、当時のメジャーレーベルをとりまく音楽状況として、なかなかCDが売れない時代で。どうしても確実にセールスが見込める作品が求められる傾向がありました。

 そうしたなかで秀樹さんにはあまりに有名な金字塔の曲がありすぎて、新曲を出そうという機運には至らず……。で、いったん置いておこうと、そのまま次に向かったんです。するとだんだん私も忘れていくし、秀樹さんもまたご病気をされた。決して曲がボツになったわけではありませんが、録音されたままずっと眠っていたんですね

 時は流れて、秀樹さんが亡くなった約1年後の2019年。ロサンゼルスに拠点を移していた宅見さんが、ふと『終わらない夜』を思い出す瞬間がやってくる。

車でフリーウェイを走っていたら、秀樹さんの『YOUNG MAN(Y.M.C.A.)』のジャケットに写っている高層ビルが見えたんです。空港の近くのセンチュリーシティという場所なんですけど、なんとなく話には聞いていたので、降りて近くに行ってみました。写真と同じように建っていて、“ここで撮ったんだ〜”って不思議な感覚になりましたね。

 秀樹さんと僕は叔父・甥の関係で、同じ業界・違う職業ですけど、やっぱり海外に住んでいると祖国のことだったり、家族のことだったり、いろいろ考えるんですよ。そんな感じでビルを見上げていたら、この場所に導いてくれたのも秀樹さんなんだ。自分は知らず知らずのうちに秀樹さんの背中を追っていたんだ、と気づかされました

『YOUNG MAN(Y.M.C.A.)』のジャケット。1979年の日本歌謡大賞に輝き、秀樹さんの代表曲として時代を超えて愛され続けている

「そして『終わらない夜』を出すなら今だ、と思ったんですね。秀樹さんの歌声のデータはのこっていますから、当時のオケ(伴奏)とは別に、今の自分がしっかりプロデュースしてやり直せば、いいものができるという確信がありましたし

 20代の自分はまだまだ未熟でしたが、30代からいろいろな仕事をやらせてもらって、こういう大人の雰囲気のある楽曲を手がけるにはいちばんいい時期なんじゃないか、と。アメリカで築いたコネクションを駆使して、腕ききのミュージシャンたちを集めて、秀樹さんを最高の形でプロデュースしたいと思いました」

 コロナ禍の影響もあって実際には3年がかりの作業となったが、

「奥さん(美紀さん)とマネージャーの片方(秀幸)さん、ファンクラブの(中田)葉子さんにご相談して許可をいただいて、今年の2月にニューヨークでレコーディングしたんです。

 結果的に秀樹さんのデビュー50周年を飾ることができてよかったです」

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