ひろこ(85)は「優しさの塊」のようなおばあちゃん
──ここからは、メタばあちゃんプロジェクトを運営されているOTAGROUP株式会社 代表の下西竜二さんにお話を伺っていきたいと思います。ひろこさん、下西さんのお仕事のことをとても心配されていましたね……(笑)。
下西:そうですね(笑) ずっと家で仕事をしているので、おばあちゃんは僕のことをプータローだと勘違いしているのかもしれません。先ほどおばあちゃんが言っていた「この活動を通じて孫にお金が入れば」という話について、ひとつだけ補足をしたいのですが、この活動の収益は僕には一銭も入りません。すべておばあちゃんへの報酬と、僕を育ててくれたクリエイティブプロデューサー育成塾や、若者を支援しているNPO法人などに寄付する予定です。
でも、おばあちゃんが僕の心配をしてくれているのも、優しさの塊のような人だからだと思います。人の悪口は言わないですし、聞き上手なので周囲の人からも愛されていて、よく友達から野菜のおすそわけをもらってくるんですよ。おばあちゃんのことを知る人がVTuberひろこ(85)の動画を見たら、「あの人がこんなことを言うはずがない」と思うのではないでしょうか。
──ひろこさんの人柄を動画から感じ取れるからこそ、多くのファンがついたのだと感じました。
下西:たしかに、僕のおばあちゃんの「優しさ」にはスター性があったのかもしれません。意外と身近なところにスターが隠れていたんですね。
──下西さんは、ひろこさんと仲がいいのですね。お孫さんがおばあちゃんと一緒に何かの活動をする事例は、なかなか珍しい気がします。
下西:僕は「めちゃ」がつくほど、おばあちゃん子だと思います。生まれたときから一緒に暮らしていて、幼稚園のときは、まだ働いていたおばあちゃんによく迎えに来てもらっていました。帰り道にマクドナルドに寄って、ハッピーセットを食べてから家に帰っていたのは、今でもいい思い出です。
地元のお祭りも、両親ではなくおばあちゃんとふたりで出かけていましたね。おばあちゃん、孫の僕に甘いんです(笑)。くじ引きや金魚すくいなど、何でもやらせてくれて。僕が「おばあちゃん、もういいよ」と言っても、「いいから、好きなものやりなさい」とお金を持たせてくれるような、そんなおばあちゃんでした。
おばあちゃんも含めて家族とは高校まで同居して、大学からは東京でひとり暮らしをしていました。2年前まで東京で働いていたのですが、Uターンで広島に戻ってきてからは、また実家でおばあちゃんと暮らしています。