ゲームが教える世界の論点
コロナ禍によるインドア生活で、社会人はテレワークを、学生はオンライン授業の実施を経て、自宅でPC・タブレット機器を積極的に利用するようになった。
これによりインターネット・トラフィックが2年の間に約2倍に増加したという調査結果もある(※)。外から内へと国民全体が動いたことで、興味・関心はインターネットに親しいカルチャーへと向かい、関連産業は急速な成長を遂げることになった。
※令和4年版情報通信白書ならびに「情報通信白書刊行から50年~ICTとデジタル経済の変遷~」より。
藤田直哉による『ゲームが教える世界の論点』(集英社新書)が出版された事情を探ってみれば、こうした状況によって今まさにゲームプレイヤー数がグンと伸びているからこそという部分は大きいだろう。
本書では「ポストトゥルース」「分断」「革命と叛乱」「新自由主義」「家族と生命」の5章に分けられ、そこからゲーム作品を取り上げてテーマ性や表現についてレビュー・考察し、「このゲームから何を学ぶか? どのような視点か?」が記されている。
その多くが2010年代に制作された作品ばかりで、それらのゲームを通じて生きること・社会の複雑さやジレンマについて触れることができるはずだ。