現実世界とネット社会の対比を見事に表した『ペルソナ5』

 本書の中でも特に筆者が共感し考えさせられたのは、学園ジュブナイルRPG『ペルソナ5』(アトラス)だ。

 書籍の第1章「ポストトゥルース(※)と陰謀論」の中で『ペルソナ5』には「情報操作に対抗する個の覚醒」という題を付けている。

※ポストトゥルース:世論の形成において、客観的事実よりも感情的・個人的な意見のほうがより強い影響力を持つこと。

 2016年に発売された本作は、ゲーム冒頭から無実の罪を着せられた主人公が、さまざまな理由で社会のつながりから孤立してしまった同世代の少年少女と出会い、謎のアプリ「イセカイナビ」を使って心の世界へと降り立つ。

 ペルソナ使い(同作品シリーズのオリジナルワード、いわば特殊能力者のこと)へと成長した彼らは、さまざまな悪行を働く者たちを改心させるべく、悪人たちの心を奪い取って文字どおりに「改心」させる、「心の怪盗団」として動き始める

 本作では「現実世界」と「イセカイ」という2つの世界が表現されている。イセカイの敵は人間の本性が露わになった禍々しい姿をしており、イセカイでペルソナの力を使用した主人公らは、“怪盗”を模した普段着とは違う姿を見せてくれたりと、私たちが現実世界とインターネットをはじめとする空間で、異なる顔を持つことを強く意識した表現がなされている