「くまモンランド化」に期待大! くまモン、歴代の恩人との再会に喜び隠せず
続いて昨年から続く、熊本県の「くまモンランド化構想」について、県のくまモングループ課長・脇俊也氏から「今後の展開」が説明された。
認知度9割、好感度も高いくまモンだが、誕生して年月がたち、慣れや飽きが出てくる可能性もある。ここからはくまモンが次のフェーズに行くべきだとして、熊本県がくまモンランド、つまりくまモンの魅力があふれる地域へと変化していく時期だと考えているという。
今年はそういう意味で、熊本県の「くまモンランド化」が一気に進む。くまモンの活躍の軌跡を収集・公開し(くま主総会)、コアなファン層をくすぐる企画を実施(くまモン検定、公式ファンクラブ設立)、さらにはバーチャル空間でくまモンと触れあう機会も、今後ますます増えていくという。
現在、くまモンに会える場所は、活動拠点のくまモンスクエアを筆頭に、サテライト施設としてくまモンビレッジ、くまモンステーションがある。そして3月23日の阿蘇くまもと空港リニューアルで、くまモンエアポートも仲間入りする。八代港にはくまモンポートもある。陸海空、すべての玄関口でくまモンに会えるわけだ。
来熊する人を迎えるだけでなく、地元熊本の人々を笑顔にする活動もさらに増えていくに違いない。
フォーラムはこのあと、学生たちが考える「くまモンランド化」のプレゼンテーションがおこなわれた。上天草と黒川温泉を、どう“くまモンランド化”していくか。2班に分かれてのプレゼンも具体的で楽しいものだった。
そして最後に、「今だから話せるくまモン愛」として、熊本県の歴代くまモン担当課長による座談会がおこなわれた。初代課長の宮尾千加子氏、3代目課長の成尾雅貴氏、5代目課長の磯田淳氏、そして4代目課長であり、くまモン学を担当している現・尚絅大学現代文化学部教授の柳田紀代子氏。この4人が、くまモンのデビューからを赤裸々に語り合った。九州新幹線全線開通のプロモーションとして「おまけ」で誕生したくまモンが、いかに熊本や大阪で苦労したか。多くの写真を披露しながら、くまモンの過去から現在を検証、そして歴代課長たちは、どんな仕掛けや決断をして、くまモンを世の中に送り出したのかを語ってくれた。
くまモンを取り巻く人々が、いかにくまモンを愛して大事に育ててきたのかがわかり、客席はみんな前のめりに。この人たちがいたからこそ、あの愛くるしく、おもしろく、人の感情の機微に敏感なくまモンが育っていったのだと感慨深かった。
「くまモンが永遠に活躍するためには、共感から愛着へと、人々の意識が進化していくことも必要だ」とする柳田教授の言葉も興味深かった。「かわいいよね」「おもしろいよね」と共感することから、一歩進んで「くまモンと何かしたい」「くまモンと一緒に熊本を盛り上げたい」といった愛着心が、さらにくまモンと熊本県を盛り上げていくことになるのではないだろうか。
そして元気に登場したくまモンは歴代課長たちと会えて、とてもうれしそうだった。課長たちも目を細めてくまモンを見守る。お互いの信頼関係が伝わってきた瞬間だ。その後、くまモンが楽しいパフォーマンスを繰り広げて閉会。たっぷりとくまモンを学び、くまモンを楽しめるフォーラムとなった。
(取材・文/亀山早苗)