高円寺にある古着屋200店舗をすべて自分でリサーチ

──時代を感じさせず、カッコいいデザインですね。中身はどのような感じでしたか?

高円寺のお店やストリートファッションとか、いろいろなカルチャーを紹介しています。今ではファッション感覚になっているタトゥーも取り上げていて、当時は“こんなものを記事にするのか!”って賛否両論になったんですよ

ファッション雑誌のような創刊号の誌面 撮影/fumufumu news編集部
賛否両論を呼んだタトゥー特集 撮影/fumufumu news編集部

──現在の誌面にも高円寺MAPが載っていますが、いつごろから掲載しているのですか。

「創刊号から載せています。私が初めて古着屋を出した'95年には、まだ5軒ほどしか店がなかったのに、2000年にはもう200軒近くになっていたんです。高円寺にある古着屋を全部回って、地図に落とし込んだのが最初ですね

一軒一軒訪れて地図に落としたという高円寺MAP 撮影/fumufumu news編集部

──古着屋MAPを作るとき、ライバルともいえる同業者の店を無償で掲載したのはなぜですか?

なんでそんなことをやっているの? って同業者からも結構言われましたね。でも、そもそも古着屋自体が5軒ほどだとお客さんって集まってこないんですよ。それが200軒になると、“高円寺は古着の街”って認識されて地方からもお客さんが来るようになるんです。そのためにはPRが必要だって、店側には説得しました。目先のことだけにとらわれない。商売ってそういうもんなんじゃないかなって思うんです

──今のようにGoogleマップなどがない時代だから、貴重な情報ですよね。

「そうですね。(創刊号をめくりながら)創刊当初は、サブカルと言うよりはポップカルチャー方面の方が誌面に登場するのは多かったですね。これは友達のイラストレーターに描いてもらったんです」

Rockin'Jelly Bean氏によるイラスト(左) 撮影/fumufumu news編集部

──Rockin'Jelly Bean(ロッキン・ジェリー・ビーン。海外でも評価の高いポップアートの画家)さんですよね。

「そう。今だともう描いてもらえないと思うけれど(笑)。こうやってクリエーターの仲間と、凸版印刷に知り合いがいたのが大きいですね。こういう形式の冊子は、当時は凸版くらい大手の技術がないと作れなかったんです。いきなり16ページの冊子を作って、配り歩いていたんですよ。そうしたら“これはすごい! “って周りから言われるようになって、続けることになったんです